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普通なら「いや、ありえないし」の一言で終わってしまう会話も、相手が兄であれば別だ。
母は、私達兄妹が幼い頃に病気で亡くなった。
その出来事から兄は病気を恐れ健康には人一倍気を使うようになり、身体を鍛え上げた。彼は今や大人の男性にも劣らない筋肉盛々の大柄な体型となったが、見た目に反して困っている人を放っておけない優しい性格なのは、亡くす辛さを知っているからこそなのかもしれない。
兄はきっと今回だって、私のこの破茶滅茶な頼みを困惑しながらも聞いてくれるだろう。
それに、この都市伝説は意外にも経験者が数多く存在すると言われている。
だから、試してみたい。
一度きりでいいから、会ってみたいんだ。
顔も知らない、私達の母親に。
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