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アルバムを見ながら、私は時計をチラ見する。
もう少しで14時半。そろそろ行動開始しなくては。
すっと立ち上がり、母に次のお願いをする。
「ママの、結婚式で着ていたドレスが見たいな」
「え、あの人ドレスまで手放すの?本当何してるのよー……」
更に父の株を落とす流れとなり、心の中で「パパごめん」と呟く。
「いいけど、あれは2階の奥にしまっているから出すのに15分ぐらい掛かるよ?時間大丈夫かな?」
「うん、大丈夫。今しか見れないからさ、ママお願い!」
両手を合わせて精一杯のおねだりポーズを見せる。
「分かったわ。折角会いに来てくれたんだもんね。今から取ってくる」
そう言って母は、一人で2階へ上がって行った。
「敦兄ちゃんも手伝って来たら?ここが力の見せ所だと思うよ?」
「そ、そうか?オレが行って大丈夫かな?下着とか出て来ないかな?」
変な所を心配する兄に、呆れながらも笑いが込み上げる。
「大丈夫よ、ホラ早く行ってきて!」
兄の背中を押して、2階へ行くように仕向ける。
ここまで順調だ。後やるべきことは……
私は玄関へ向かい、自分と兄の靴を靴箱の中に入れて隠した。
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