残酷山怪異譚

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     ※  しかしここは、全くの廃屋ではなかった。 「パパ、ママ、また誰か入って来ちゃったよ」  シンイチが言うと、妹のミヨ子が遊んでいた人形を放り出した。 「やだぁ、怖いよう」  泣き声を上げ、母親にしがみつく。 「ミヨ子は弱虫だなぁ。僕はへっちゃらさ。どんな奴らか見てこようか?」 「これ、止めなさい、シンイチ」  母親がシンイチをいさめ、ミヨ子を優しく抱き寄せた。 「大丈夫よ。隠れていれば、何処かへ行っちゃうわ。あなた、バリケードをもっと強化してくださいな」 「やってもキリがないよ。本当に迷惑な奴らだ」  父親がため息をつく。 「しっ、静かに」  侵入者の足音が近付いてくる。 「皆、隠れるんだ」
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