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「その女の子って、ミヨ子のことじゃないか? おばあちゃんのお見舞いに行くとき、いつもランドセルに食べ物を入れて行くだろ」
兄の言葉に、ミヨ子が口を尖らせた。
「あたし、幽霊じゃないもん! あの人、大嫌い!」
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ミレイがふと顔を上げ、呟いた。
「雨が降って来たようですね」
冷たく湿った夜気が、破れた窓から流れ込む。パラパラと木の葉を打つ音が、かび臭い部屋を満たしてゆく。
膝を抱えたミレイが、傍らの人形に話しかけるように言った。
「次は、私の友人の話しをします」
友人のYは結婚の約束をしていた彼に浮気され、落ち込んでいました。しかも浮気の相手は、仲良くしている会社の後輩だったのです。Yは体調を崩し、会社にも行けなくなりました。悩んだYは、後輩のMに死んでもらうしかないと考えました。勿論、実際に殺せば罪になります。ですから、Mを呪い殺すことにしたのです。
Yは、隣の県にその手の願いを引き受けてくれる神社があることを思い出しました。通信販売で呪いの藁人形セットを入手すると、早速その神社へ向かいました。
鬱蒼とした神社の境内には、至る所に藁人形が打ち付けられた木がありました。藁人形だけでなく、顔が焼かれた写真や免許証、変わったものではパンティが、五寸釘で木の幹に打ち付けられています。
ここへ来た人たちの切実な思いが伝わるようで、Yは全ての呪いが成就するよう、神に祈らずにはいられませんでした。
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