驚愕の施術料

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驚愕の施術料

 施術は、あっという間に終わり、お会計になった。 「真坂さま、お待たせしました。本日は、2万9800円になります」 (2万、9千???ていうか、3万円近いじゃない、ひえーっ!) 「カ、カードで……」  背に腹は変えられない。痛い出費だと思いながらも、慌ててクレオパトラを出た。 (エステって、こんなに高いの?)  明細を見た。飛び込み代金とか、緊急とか、なんか色々トッピングを乗せられて、こうなったらしい。 (でも、これでプレゼンは大丈夫だわ)  オフィスに戻る前に、トイレに駆け込んだ。トイレって便利ねーと思いながら、化粧をいつもより厚めにした。 (これで、プレゼンだけは乗り切れる)  きょうのプレゼンは、コンビニやスーパーの仕入れ担当者相手だった。わたしは、この手のプレゼンには慣れている。こう見えても、「美人広報」ってことで、名前が通っているし。  パワーポイントを使いながら、 「これが新しい機能性飲料『デトキシンδ』です」  葉梨に説明したように、性能というか効能を説明した。しかし、今回は仕入れてもらい、売ってもらわなければならない。記者を相手にするよりも、手ごわいかもしれない。 「野菜不足が叫ばれて久しいですが、腸内洗浄力抜群の蓮根と、これまではジュースにあまり馴染まなかった牛蒡、そして効果が抜群でありながら、臭いが敬遠されていた高麗人参のクセを消し去ることに業界で初めて成功しました」  試供品を、バイヤーの前に置いた。 (自信あるのよね。わたし自身がびっくりしたもの)  十数人のバイヤーは、ストローで吸い上げながら、 (これが高麗人参? 牛蒡? 蓮根?)  と言った顔でお互いを見ていた。プレゼンは順調だ。 「デトックス効果は抜群ですが、問題なのは味です。飲まれた方はお気づきでしょうが、クセのないコーラ味に仕上がっております」  うちの社の開発力は凄いわ……。改めて感心した。実際、お通じはこれを飲めばバッチリなのだ。  プレゼンは無事終了した。手ごたえはそこそこあった。  
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