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エデン・クリニック
そのクリニックは、私みたいなオヤジにお似合い……と思いたくないけど、オジサンの聖地、新橋にあった。
なぜ新橋なのかは、よく分らないけれど、とにかく行ってみた。SLのある方だった。
もらった地図を頼りに、細い路地を歩いた。
(わっかりにくい場所にあるのね)
正直、不安だった。焦る気持ちを抑えながらも、そのクリニックをようやく見つけた。
(意外に、きれいじゃない)
エデン・クリニックは、新橋駅から徒歩10分ほどのはずれた場所にあった。古びたビルの谷間に、新築のキレイな細いビルが建っていた。焦る気持ちと、不安な気持ちをコントロールするので精一杯だったが、エレベーターで3階のクリニックへと足を運んだ。
「す、すみません……」
恐る恐る、ドアを開いた。白衣でマスクの受け付け女性が、
「いらっしゃいませ。当院は、ご紹介のあった場合のみ、診療させていただいておりますが、何かお持ちですか」
紹介が必要な病院なんてあるんだ、と思った。しかし紹介でもなければ、このような分かりにくい場所に来ることはない。
「あ、はい。これを……」
葉梨からもらった名刺を出した。女性は、しげしげと眺めて、
「ああ、葉梨さんのお知り合いの方ですか。院長は、ただ今診察中ですので、採決採尿して、30分ほどお待ちいただいてもよろしいですか?」
イエス、と言うしかない。わたしは、血を採ったり尿検査をしたり、普通の病院みたいなチェックを受け付け女性にしてもらった。
それから、個室みたいな待合室で待つことになった。だけど、このクリニックって、不思議だわ。紹介制の病院って何なの……と思った。
しばらくして。診察室のドアが、カチャリと開き、30代くらいのマスク&眼鏡の女性があらわれた。
「あなたが、真坂さんね。こちらへどうぞ」
表情は分らないが、この人が恵田というお医者さんなんだろうってことは、想像が付いた。
診察室とは思われないような超豪華な部屋だった。例えれば、ホテルのスウィートルーム。
(これが診察室???)
頭の中は、はてなマークでいっぱいだった。
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