オス化する女

有休ゲット、なるか？

　オフィスに戻ってみると、珍しく皆が心配そうに再びやってきた。
「おい、真坂くん。大丈夫か？」
　セクハラ森河村が顔を近づけてきた。
　だから、近いって。
「あなた、さぼってたんじゃないわよね」
　お局は相変わらずだ。
　口々に、みな言いたい放題だわ。思い切って、言わなきゃ。
「すみません。どうもわたし、風邪と過労による合併にストレスが重なって、ちょっと不安定になってるみたいで。一週間ほど、お休みをいただいても良いですか？」
　上司の森河村に、思い切って言ってみた。最近は、新商品の発表があったせいか、長期の休みを取っていない。
　わたしの事を不憫というか、かわいそうに思ったのか、あたりを見渡して、
「ん、ああ、いいんじゃないかな。山平くん、ＯＫだよね」
　山平は、いきなり振られて、困惑した表情をした。うなずく以外に、道はない。
「まあ、大丈夫だろ。しばらく、静養してきて」
　意外にも、すんなり事が運んだ。
　明日からしばらく、京都に行ってお寺でもめぐろう。
　そして、私にとっての幸せって何かを考えよう。