電話ボックス

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約束を思い出す出来事が起きたのは、その約束から5年と半年が経ってからだった。 俺の元に届いた見知らぬ番号からの一本の電話。 普段なら知らない電話には出ないのだが、ゲームをしていた俺は誤タップで電話に出てしまった。 結果的には電話に出てよかった。 なぜなら相手は例の友人の母親で、友人が事故で亡くなってしまったことを報告するために俺に電話をくれたからだった。 呆然とした。 頭が真っ白になった。 一番仲が良く、一番よく遊んだ相手だったからだ。 高校からの、親友と言ってもいいような間柄の奴だった。 お互いの家に泊まったり、男の2人旅をしたり、くだらないことで喧嘩もした。 同じ大学で同じ映画サークルに入ったり、夜更かしして電話を繋ぎながら同じ映画を見て感想を言い合ったりもした。 就職を機にお互い違う職についたせいで遊べる回数は減ったけれど、それでも休みの日が合えば映画を見に行ったこともあった。 もうそれもできない。 もうあいつと映画について論争することもできないし、仕事の愚痴を聞いてもらうこともできない。 そう思うと喪失感から涙がこぼれた。
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