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電話ボックス
とある山中に、古びた電話ボックスがある。
そこは霊界と繋がっているという噂があった。
心霊番組なんかでも取り上げられるほど有名な電話ボックスは、俺の家から車で2時間ほどで行ける場所にあった。
その電話ボックスには、今では街中でもあまり見なくなった緑の公衆電話が設置されている。
その公衆電話を使って決まった電話番号にかけると「どなたにお繋ぎしますか?」というアナウンスが流れるらしい。
まるで昔の電話交換手にも似たその音声に、すでに亡くなっている話したい人を思い浮かべながら名前を告げるとその本人と話ができるのだとか。
ただし注意点が一つ。
それは生きている人の名前は言ってはいけないということ。
もしも生きている人のことを思い浮かべながら名前を言うと、相手は亡くなってしまうのだとか。
逆にそれを利用して藁人形の呪いじみたことをする人もいるらしいのだが……。
それはさておき、俺はこの話を友人から聞いて知った。友人はテレビで知り、さらに詳しくネットで調べたらしいのだが。
友人はこの電話ボックスにいたく興味があるそうで。
『どっちかが死んだらさ、この電話ボックスから電話してみようぜ! 霊界が本当にあるのか気になるだろ? オレは知りたい! なぁ、お前が先に死んだらオレは絶対にお前に電話するけど、オレが先に死んでもお前電話しろよ? 約束だからな!』
強めに背中を叩かれながら強引で一方的に押し付けられた約束。
その時は頷かざるを得なかったが、その話は数カ月もすればすっかり忘れてしまっていた。
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