山高きが故に

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 まったりとまどろむ中、突然、ルナに連れ去られた幻獣ガーヤの子。  そして、今度は激しい咳き込みと共に抱き込まれ、目を白黒されているうちに、どんどん圧迫されていく。  身動きしようにもどうにも出来ないほど強く強く抱き込まれ、もはや生命の危険を感じる程――――やめて、ぼく、死んじゃうー!!  危機感により、幻獣種ガーヤの力が発動する。  ルナの体内を調整し、不和を起こしていた呼気を循環させる。  ガーヤの子は淡く輝き、ソレと共にルナの咳き込みは治まり、呼吸も次第に落ち着いていった。  ルナの状態が落ち着くにつれ、強く抱え込んでいた腕も緩み、ガーヤの子もホッとひと息つく。  そのタイミングで、もう一度、ガーヤの子とルナの眼が互いをしっかりと認識する。  そこには、共に生死を乗り越えた絆が生まれていた。  ガーヤの子の場合、その危機に陥ったのは、ほとんどルナのせい。  にも関わらず、ガーヤの子のもとに、ルナの感謝、親愛、友愛全ての感情が押し寄せた時、ガーヤの子はソレら全てを悪くない、と感じてしまった。  そう、幼く無垢なガーヤの子は、その絆をも受け入れてしまったのだ。  絆が出来てしまったからには、仕方がない。  ルナに絆されてしまったガーヤの子は、ルナの父に今後を問う。  聞けば、ルナ達の一行は隣国の山岳地帯を治める一族で、ルナの父はその長だった。  元々ルナの病を治す為の訪問であったという。  ユクレナ山を領地とする国は、医療が進んだ国として有名であったらしい。  そこで名高い療者と契約を交わし、国元へ帰る途中での邂逅であったとのこと。  幻獣ガーヤの子は悩んだが、天敵のいないおおらかさでもって、ルナ達の一行との同行を決めた。  その決定を後押ししたのは、隣国の山岳地帯が合わねばいつでもここへ連れて帰るし、里帰りにも付き合う、というルナの父との約束事だった。
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