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結局おいくら?
さらに多絵は書類の一部を指して怒る。
「仲介手数料19万8000円! もうこれだけで大赤字だし! 司法書士が絡んでくればその費用も自腹だって言ったよな! あんたは確かに一山当てたよ! だけど一山当てていくら借金するつもりよ!」
か、解約しなきゃ⋯⋯。
オレはすかさずサイトの運営会社に電話をかけた。
だが、オペレーターは淡々と言った。
「当社は、宅地建物取引業者ではありませんから、クーリングオフはできません。またお客様は万倍チケット購入により、購入に積極的であるとみなされることもクーリングオフできない理由になります。約款もお読みになったと思いますが、年払いは今後10年間のご契約です。こちらは年ごとの全額払いとなるため、該当年に関しましてはクーリングオフできません。途中解約につきましては、違約金が発生し、弊社は顧問弁護士を通して訴訟案件と致しますが、お客様はすでに司法書士と契約状態にありますので、これも積極的であるとみなされ、高額な弁護士費用を払ったとしても、勝訴は得られないかと。もちろん、訴訟なさるなら、お止めしませんが、このお電話によって違約金お支払いを受け入れていただければ、ご購入の山はお客様のものとして、こちらで便宜を図らせていただきます。ちなみに違約金は、年払いの三年分、39万円となります」
多絵が頭を抱えた。
オレは一山当てたはずなのに、絶望感でいっぱいだ。
いや、確かに一山は手元に残るんだろうが、それに伴う出費が尋常じゃない⋯⋯。
多絵が薬指から指輪を外した。
「離婚してください」
二人で積み上げてきた人生の山が、なだれを起こす。
一山当てた?
なんて無慈悲なラッキーだ。
後日オレは、多絵に対する慰謝料で、さらなる借金をした。
もうコンビニ弁当なんて、高くて食えないよ。
オレは手に入れた山にこもり、自給自足の生活を送ろうと腹を決めた⋯⋯。
(結局、一山いくら?)
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