山か、川か

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「おーい智也(ともや)。今度の日曜だけどさ。バスケの練習試合出てくれよ。一人怪我しちゃってさ」 「おう? 報酬は?」 「アイス1週間分」 「乗った!」  こうやって、オレの下には次々と依頼が舞い込む。  成績はイマイチだが、運動神経には自信があるし、何より「頼みやすいオーラ」みたいなものがオレにはあるらしい。  そんで、なぜか常に金欠の身としては、その才能を切り売りしてだな、食べたいものやゲームなんかを我慢しないで済むようにと、思いついた『商売』。 「あんたって行き当たりばったりだからさ。『何でも屋』なんて、早々に行き詰まるって思ってたわよ」  見かけはツインテールの可愛らしい女子なんだから、しゃべらない方がいい。そういう委員長の夏央(なつお)が今日もしゃべりかけてきた。 「うっせーな。大体今回のこの、隣のクラスの三波(みなみ)亮太(りょうた)の件は、お前が持ってきた話じゃんかよ」 「そ、それはねえ……ちょっと紹介してって頼まれたから……」  夏央の歯切れが悪くなる。  
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