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第一章 再会、君の想い
孤独という言葉は、きっと僕のためにあるんだと思う。
誰かと居てもどこか上の空で。話をしていても楽しいなんて思ったことがない。どうしてこんなに無気力なんだろうかと、自分でも自分がよく分からない。
今日も仕事を終えて重たい足取りでアパートに帰ってくると、郵便受けにチラシと一緒に同窓会の案内が書かれたハガキが入っていた。
中学校の同窓生代表からだ。名前は見たことがあるような気はするけれど、定かではない。そして、顔までは当然思い出せない。
あの頃の僕は、今と同じで無気力だった。
勉強も、部活も、友達も、ただなんとなくこなして、関わっていた。思い返そうとしても、学生の頃の思い出なんて、何一つ思い出せない。
そもそも、もう卒業してから何年になる?
重苦しい肩に手を当てて、首を左右に傾けた。もはや疲れが身体にまで如実に現れ始める年齢だ。
ガチャリと鍵を回し玄関ドアを開ける。冷んやりとした家の中は、より孤独を感じさせた。
別に、一人が嫌いなわけじゃない。気楽だし誰かに縛られることもなく自由だ。だけど、時々どうしようもなく、虚しさを感じる時がある。
中学の卒業アルバムなんて実家から持ってきていた覚えもないし、どこにしまっていたかも思い出せない。少し前までは、第一次結婚ラッシュで知り合いや人伝に同級生の誰々が結婚しただの、出産しただのと噂が聞こえてきていた。
しかし、最近は何の話も聞こえてこなくなった。僕にはそんな浮いた話は全くないし、恋人の話や結婚、将来のこと、子供の悩みなんて誰も話してなんて来ない。話されても答えようがないんだから仕方がない。
カバンを下ろしてとっくに緩めていたネクタイを外す。ハンガーはあるけれど、面倒くさいから上着を脱ぐと、そのままソファーの背に掛けて座り込んだ。
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