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「昼川、卒業式の日は呼ばれていたのに行けなくて、ごめん……」
昼川の真正面に立って、頭を下げた。
本当に後悔している。
「昼川があの後どんな気持ちでいたかなんて、考えもしないで、ずっと、忘れたままだった」
「……夜野くん?」
「本当に、ごめん」
同窓会で会った昼川は、なんの戸惑いも悲しみもないように、僕に当時の気持ちを伝えてくれた。でも、結婚するのに、子供も生まれるのに、それなのに、わざわざ僕に当時の気持ちを伝えてくれるって、少なからず、昼川の記憶のどこかに、僕の存在が居続けたってことなんじゃないかな。
そんな風に思ってしまったんだ。
だから、戸惑いはあったけれど、昼川からの告白が僕は本当に嬉しかった。と、同時に、ずっと辛い思いをさせていたんじゃないだろうかと、責任を感じた。
今更、責任をとるなんて大きなことは言えないし、言えるわけもないから、せめて、今目の前にいる彼女には、僕のわがままを聞いてほしいと思った。
「僕は、昼川のことが好きだよ。穏やかで優しくて、僕みたいな無口なやつにでも笑顔で声をかけてくれて。いつもすごく、嬉しかった。真面目なとこも、一生懸命なとこも、昼川らしくて、大好きだ──」
気持ちが抑えられずに、言葉になって溢れ出す。自分でも、今まで無口で通してきた性格が一変してしまったように饒舌だ。気がついてはいるけれど、止まらない。
「よ、夜野くんっ……!」
昼川の呼びかけにハッとすると、目の前で真っ赤に頬を染めて、困ったように眉を下げてこちらを見ていた。
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