第一章 再会、君の想い

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*  暗がりに見える久しぶりの地元。何年振りだろうか。駅は立派になり、建物も増えた気がする。  駅前は昔ながらの商店が並ぶ。閑散としているけれど、駅裏はまだ僕がここに住んでいた高校生の頃よりもずっと住宅も増えて、田んぼの面積がほぼなくなっていた。だけど、変わらない場所もあって、馴染みのある風景にはどこかホッと出来る気もする。  最終電車、静かすぎる夜のホームに降り立ち、冬独特のひんやりとした重たい空気を鼻で吸い込む。ツンっと、一瞬鼻の奥が凍りそうに感じるけれど、それすら懐かしくて、何度か息を吸っては吐いた。  暖房の効いた待合室の椅子に座る。リュックに入る程度の荷物しか持ってきていなかったから、一度それを下ろしてポケットからスマホを取り出した。  同窓会のハガキを投函した後に、同級生で幼なじみだった政光(まさみつ)と連絡を取ってみた。相変わらず地元に住んでいて、実家を手伝っているらしい。声を聞く限り、僕みたいに沈んだ日々を暮らしているようには思えなかった。むしろ、あの頃よりも弾んで聞こえてくる声に、ため息をつきたくなったほどだ。 「おお! 佑衣斗(ゆいと)! ひっさしぶり!」  今着いたと、メッセージを送る手前で入り口の自動ドアが開き、冷たい風と共に明るい声が入り込んできた。 「お前は相変わらずイケメンだなー! 都会の男になりおって」  細身のデニムにシャツとセーター、ダウンコートを羽織った綺麗めな格好の僕に対して、政光は年季の入ったダボダボのズボンにTシャツ。薄手のジャンパーを羽織った軽装で現れた。頭にはタオルを巻いている。  どかどかと近づいてくる政光からは、なにやら美味しそうな香りが漂う。と、思った瞬間、真っ正面に来たところで何の香りか勘付いた。 「……にんにく臭ぇ……」  顔を顰めて訴えると、政光は自分の体の匂いを嗅いでから少しだけ僕から距離を取る。
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