第一章 再会、君の想い

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「懐かしいだろ? ほとんど変わってねーからな」 「ほんとだな」  とくにこれと言って思い出すこともないけれど、懐かしさは感じる。  いつも食べていた五目ラーメンを注文して待っていると、厨房から運んできたのは女の人だった。 「お待たせしましたー! 五目ラーメンですー!」  政光同様に、勢いのある声に圧倒される。 「夜野(やの)先輩ですよねー! あたし時ヶ崎(ときがさき)高校の後輩です」 「……え、そう、なんですね」 「夜野先輩相変わらずカッコいいですねー! あの頃も相当モテてたし」 「え? 僕が?」 「はい! 後輩からもめっちゃ人気者でしたよ。あ、すみません、熱いうちにぜひ、食べてください」  困惑する僕の顔に気が付いたのか、慌てて厨房に入って行ってしまった。  誰だ?  頭の中にはその言葉しか浮かばない。同級生すら分からないのに、後輩なんて覚えているはずもない。すぐに悩むのをやめて、目の前の五目ラーメンに箸を突っ込んだ。  黄金色のとろみがかったスープに、野菜が絡んでいる。底の方から細めのちぢれ麺を持ち上げてくると、真っ白い湯気が立ち上った。フーフーと冷ましてから、口に運ぶ。  熱々の餡と麺が、いつまでも冷めることなく喉を通っていった。 「……うまぁっ」  思わず溢れた言葉。それからは、無言で夢中になって食べた。ここへ来るまでに冷えてしまった体が、もう汗ばんでいる。途中でダウンコートを脱いで、本格的にスープまで飲み干して食べ終わった。 「わぁ、良い食べっぷりですね! こちら、お冷どうぞ」  空になったどんぶりを見て、先ほどラーメンを運んできてくれた女の人が、コップに入った冷たい水を差し出してくれた。 「美味しかったです」 「あ、ちょっと待ってくださいね! マサさーん!」  僕が感想を述べるとすぐに、慌てて女の人は厨房に向かって政光を呼ぶ。
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