第4話 スクワッドバトルがむちゃくちゃだったんだが

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第4話 スクワッドバトルがむちゃくちゃだったんだが

——2055年1月3日 ——Team【静かなる狼】 VS Team【夜の円卓】 SQUAD BATTLE START!  試合開始の合図と共に、廃病院フィールドの北側と南側の平地にはそれぞれのチームが召喚される。  互いに目視できない距離だが、レーダーには映っていることを確認していた。 :新春スクワッドバトル助かる~ :それなw :ワクワクが止まらないぜ! :コーラとポップコーンを準備してた俺は勝ち組 :ちくしょう! 俺も買ってくる! :いてらー  試合の進行を眺めている視聴者たちはチャットで試合を盛り上げている。  シャドマセの公式チャンネルで配信中のこの試合は視聴数が開始数分で1万を超えて、まだ伸びていた。  カメラドローンがフィールド上空にいくつも飛んでいて、試合の様子をライブ配信で流し続けている。  ライブ配信はシャドマセ内の待機所や、ゲームにログインしていない人はスマホで見ていた。 ■Team【静かなる狼】 『一気にせめていこー! 私はスナイパーのポジションを取ればいいよね?』 『連携については向こうのほうが上だろうが、こちらはソロランキング上位の猛者たちだ、それぞれの得意分野で攻めていけばいい』 『敵の全滅狙いで、いつも通りやっていこう』 『今日も地獄を震わせていくぜ!』  今回の主役であるスティルハンターがギリースーツから美少女の顔を出しつつ話している。  まるで土から生首が生えているようだ。  そのスティルに合わせて、チームを組んでいる、ブラッド(ランキング7位)、ヴォイド(ランキング12位)、ヘルシェイカー(ランキング5位)達がレーダーで【夜の円卓】のメンバーの位置を把握しながら動き出す。   :スティルは可愛い女の子だったなんて! :生首助かるぅ~ :いや、それはないだろw :それはないだろはないだろw :大草原不可避wwwww  チャットの盛り上がりを受けつつも、無駄な会話を避けて【静かなる狼】達は平地から廃病院を目指した。   ■Team【夜の円卓】  レーダーで全体の流れを見ながら、リアムが金髪の髪を揺らして全員に指示を出す。  ランキングは20位よりも下なのだが、それはランクマッチを主にやっていないだけで、プレイ時間は長かった。  豊富な経験から導き出される作戦を反対するメンバーはここにはいない。   『はるまきちゃんが病院に入ったのを確認した。アリスは後ろから追いかけてフィールド確保の援護。ソルは中距離支援に回ってくれ』  :きゃー、リアム様のご尊顔が! :正月からいいものを見れた。今年一年生きていける! :ありがとうございます、ありがとうございます!  こちらは女性からのコメントが多い。  リアム・ファルコンはゲーム内の実力ランキングは低いが知名度という意味では断トツだ。  噂ではリアムの薄い本も出ているとかいないとか……。  カメラの1つがはるまきちゃんを追いかける。  なぜか、ローアングルでパンチラを狙っているのは数字を取るためだ。 :今日は縞パン! :さすが運営、そこにしびれるあこがれる! :いや、ドローンカメラの動きはAIが視聴率を分析して自動でやっているって噂だぞ? :ΩΩΩ<な、なんだってー!?  廃病院の中心部にある大浴場が今回の制圧ポイントだった。  はるまきちゃんが、持ち前のAGIを生かして、敵の接近前に制圧を目指している。  狙撃を警戒して風呂の中に身をかがめて、はるまきちゃんは道中に入手したアイテムを整理していた。  ゲージが進み、制圧度合いが上がっていく。  しかし、すんなりとは進ませてはくれないようだ。 『オレ様が地獄だぜ!』  建物の外部から、ロケットランチャーが撃ち込まれる。  一発が大浴場に入って、爆発した。  爆風があたりをつつみ、視界が悪くなる。   『無茶苦茶な人がいるなぁ……ステルスマントを付けて移動していたのかな……なかなかやるなぁ~』  爆風に包まれるも、致命傷を避けられたはるまきちゃんは手に入れた回復アイテムを使って治療していく。  はるまきちゃんが治療している間に、再び外からロケットランチャーが撃たれそうだったが、そこをアリスとソルが迎撃してくれたので、はるまきちゃんは安全を確保しながら制圧ゲージを達成できた。  先手必勝作戦はうまくいき、フィールド制圧によるポイントがTeam【夜の円卓】がまずは1ポイント確保する。 『二戦目もポイントを取って、勝利を手にしよう』  リアムの言葉に次の試合へ向けて各自は気合いを入れ直すのだった。
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