最終話 噂のJKくノ一は俺なんだが

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最終話 噂のJKくノ一は俺なんだが

■風魔の里 訓練所  俺のいる風魔の里はいわゆる忍者の隠れ里であるため、里の中に訓練所がある。  風がそよぐ竹林の中にいる俺は朝食後の運動として、自主訓練を続けていた。  訓練所は時間帯によって決まっているので、その決まっていない時間帯……日が昇りきる前に俺はいる。  息を吐けば白く染まり、1月という季節を感じた。 「ゲームではこういうところは再現されていないんだがな……」  ぽつりとつぶやいて、水分補給をする。  すると、目の前が真っ暗になった。 「だ~れだ?」 「こんなことをするのはシズしかないだろ……」  目を手で隠されたが、殺気などもなかったし近づいている段階で気が付いていた。  ただ、あえて無視していただけである。 「そっか~。なーんか、つまんないの!」  両手を頭の後ろにもっていって、口を尖らせたシズは俺の隣に移動した。  改めてみると、シズは背丈が低く小動物のような可愛いさのある女だと思う。 「お兄ちゃん私を見てどうしたの?」 「いや、修行をさぼっていて少し太ったんじゃないかとな」 「なぁ!? デリカシーなし! そんなんじゃ、おねー様を射止められないよ!」 「おねー様?」  俺の突っ込みに顔を真っ赤にして反応をするシズから、気になる単語が出て来た。  今まではそんな単語を聞いた覚えはない。  嫌な予感が俺の脳裏に浮かんだ。 「そう、はるまきおねー様! 可愛くて強くて、もうお兄ちゃんのお嫁さんは私がなれないなら、はるまきおねー様だけだね」  うんうんと頷くシズの姿に頭痛がし始めるも表に見せず、平静をよそおう。  挑戦状の段階から予想はしていたが、この結果は予想外だった。   「だからね、はるまきおねー様と仲良くなるためにリアムさんへクランに入れてって、ラブコールを送っているところなの♪ 明日までに返事が来なかったら、ちょっとリアルで訪問しちゃうのも辞さないかな」  フフフフと笑うシズの顔は端的に行ってヤバイ。  現役女子中学生がしていい顔じゃなかった。 「シズ、【風魔の掟】はわかっているな?」 「わかっているわよぉ、”依頼がない限り外部との接触はご法度”でしょ? 情報屋経由でちょっと探りを入れるだけだよぉ~」 (それは、わかってないだろ……)  シズは【静香】という名前なんだが、静かというより激情型だと俺は思う。  何よりも問題なのは……。 (はるまきちゃんの中の人は俺なんだが)  この情報を伝えられる人間はごく少数。  ますます墓場まで持っていかなければいけない秘密を抱えてしまった俺だった。
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