鶏の唐揚げ

「どうもー…皆さん初めましてー」
「『こけこっこー』ですー。男女コンビの漫才師です」　　　
「今日は、なんと！記念すべき！！初舞台なんです！！せやから皆さん…」
「どうぞ、皆さん…」
「「宜しくお願い致しますー！！」」　　

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「今日の夜ご飯のメインは、鶏唐やん！なんや…また1人5コか…前から言(ゆ)ってるけど、毎回毎回1人3コとか4コとか…そうゆうんと違って、いっぱい！いーーっぱい！山になってる鶏唐…鶏唐の山が食べたいねん！！」

「いやや。山になる程の鶏唐買ってきてみ？一体幾らかかると思ってるねん。スーパー価格100g当たり200円として、2キロ買ったら4,000円やで？…高いわ…」

「そしたら、買わんと家で作ったらいいやん。絶対その方が安いやん。手間かかるけど、その方が安いやん。更に揚げたてやし、美味しいやん」

「いやや。後片付けがめっちゃめんどくさい。大変やねんで？！大変なん知らんから、そんな簡単に“家で作ったらいいやん”…って言(ゆ)うけど。まだ家(うち)IHクッキングヒーターやから後片付け簡単やけど、ガスコンロやってみ？もうほんま大変やで？発狂するで？」

「家(うち)IHクッキングヒーターやし、ガスコンロと違う(ちゃう)し、後片付け簡単なんなんやろ？ほんなら作ってーなー」

「うっ…（い、いらん事言ってしもた😓）」

「なーなーー」

「仮に2キロとして…揚げてたら途中油酔いして、気持ち悪ぅなって、揚げてるかもしれへんけど、それでもかまへんの？」

「かまへんかまへん」

「ほんまにかまへんの？」

「かまへんかまへん」

「ほんまに？」

「かまへんかまへん。横でビニール袋で受けとくし」

「…はぁっ…分かった…そこまで言(ゆ)うんやったら、次の土曜日、鶏唐用の肉2キロ…2キロでいいの？」

「うん。2キロでいい」

「2キロ買ってきて、家で鶏唐作るわ」

「ヤッター！ありがとう！楽しみや！鶏唐の山のために、ビールいっぱい買っとこ！！」

「はぁっ…次の土曜日いややなぁ…はぁっ…」

「「そして次の土曜日」」

「肉…鶏唐用の肉2キロ買ってきたで〜」

「ほんま？やったー！！ぜっっったい“あっ、忘れてたわー”って言ってボケて逃げると思ってた」

「約束してんし、ちゃんと守るし…。そしたら今から作るしな。首洗って待っとき」

「首洗って…って意味分からへんし。キンキンに冷えてるビール飲んで待ってるわ」

「ほんなら私は、キンキンに冷えてる日本酒飲みながら鶏唐作るわ」

「それ、チッキンドリンカー…もとい…キッチンドリンカーやんっ！！それあかんあかん💦危ない危ない💦💦やめてやめて💦💦家、火事になってしまうわー💦💦鶏肉と一緒にこんがりなってしまうわ💦💦💦」

「ウソやん！冗談やん！！分かってるしー。ほんなら作るし」

「ハーイ！ありがとう！ビール飲んで待ってるし」

「はいはーい。よし作ろっ。鶏肉包丁で切ってー、切ってー、切ってー…って、切るだけでも大変やん。アホや…ケチらんと切ってる唐揚げ用の鶏肉買ってきたらよかった。頑張って切るわー…よいしょ、よいしょ…」

「あーっ…キンキンに冷えたビールは美味しいなぁー」

「そんなん言わんと飲んでくれる？」

「なんで？」

「こっちで一生懸命下ごしらえしてるのに、近くでそんな悠長な事言われたら、やる気なくすし」

「あっ、ごめん！やる気なくされたら困る…黙って飲むわ」

「そうして」

「はい…ごめんなさい」

「そんなん言(ゆ)うてる間に、下ごしらえできたし。今から揚げていくわ。首洗って待っとりや」

「分かった。首洗わんと、ビールで喉洗って待ってるわ」

「ぽとん、ぽとん、ぽとん…じゅー、じゅー、じゅー…パチパチッ、パチパチッ、パチパチッ…からからからー…からからからー…からからからー…あっ！鶏唐出来た！火傷しんように油から取り出して………よいしょっ、よいしょっ…新聞紙の上にのせたキッチンペーパーの上にのせて、油切って………お皿の上にキッチンペーパー敷いて、のせて………出来上がり…はぁっ…まずは鶏唐の丘が出来たでー！」

「あっ、ほんま？ありがとう！取りに行くわ！」

「うん、取りに来てー。……………はい、これな？丘やけど落とさんように気をつけて…よろしく！」

「わっ！おいしそー！ありがとう！落とさんようにテーブルに戻って、熱々出来立て、食べるわ〜！」

「はいはーい。あっ、これお箸」

「ありがとう」

「よっしゃ、鶏唐、じゃんじゃん揚げてくでー！」

「待ってるわー」

「…はぁーっ…やっと出来た！これでラスト！！油酔いしんと鶏唐揚げ切ったわ！さて、鶏唐の山、落とさんようにテーブルに持っていこ！…よいしょ、よいしょ、落とさんように、持っていくのだけでも大変やなぁ…よいしょ、よいしょっ。はーい！出来立て鶏唐の山持ってきたでー…って、あんた？なんやの？どこにおんの？鶏唐の山に埋もれてしもて、見えへんやん！…そうや！探すのに叫んでみよ！せーのー…ヤッホーッ！ヤッホーーッ！あんた、どこにおんのー？山だけに遭難してへんかー？ヤッホーーーッ…」

「お、俺…こ、ここや…」

「あっ、おった！テーブルにうつ伏せになって、手挙げてる…どしたん？大丈夫か？」

「大丈夫と違う(ちゃう)……揚げてる油のニオイで油酔いしたんと、鶏唐食べすぎて胸焼けおこして、むっちゃきもち悪いっ…」

「えっ？きもち悪い？えっ、そうなん？そしたら、もう、食べれへんなぁ…そしたらこの鶏唐の山、どうしよ？うーん…どうしよ？あっ、そうや！休憩してから食べる？」

「きゅっ、休憩してから？あほっ！何言(ゆ)ってんねん💦💦きもち悪いって、言(ゆ)ってるやん！もう無理やーっ！もう…鶏だけにもうけっこう💦💦💦」

「皆さん！どうも、ありがとうございました」

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