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おまえは食用に作られた人間だ
我々に食われる為に
おまえは生まれてきたのだ
顔の無い人間達が私を取り囲んでいる
皆が口々にそう言って
私の体を切り取ってゆく
腕の肉を 足の肉を
内臓を 抉り取ってゆく
肋骨を突き砕いて
傷付いた心臓を鷲摑みにして
ハイエナのように貪り食う
まだ幼く無垢な私の頭をハンマーで叩き壊し
血に塗れた手で桃色の脳を掻き回し
真っ黒な毒薬のソースを注ぎ込む
おまえは生贄なのだから
食われる為に生まれてきたのだから
これがおまえの宿命なのだ
顔の無い人間達はそう言って
尚も私を食らい続ける
私の体が形を為さない程にズタズタにされ
ボロボロになってゆくにつれ
顔の無い人間達は
自分の顔を形作ってゆく
そうして完成したのは
私の家族だ
私を裏切った友人達だ
私を弄んだ男達だ
皆 私を食らって生き延びたのだ
おまえは食用に作られたのだから
我々に食われる為に
餌になる為に
生まれてきたのだからと
(2019年2月9日作の詩)
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