悪役令嬢と言われましたけど、大人しく断罪されるわけないでしょう?

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 後日、レモーネ家の当主がレイモンド様の弟君であるレオン様に代替わりし、公爵夫妻は領地に戻って隠居することになったと聞きました。レイモンド様はレオン様ともお話されたようで、彼の行動次第ではありますが今後は真っ当な人生を送ることが出来るかもしれませんね。  私はというと、無事にアルバート皇太子殿下との婚約の手続きを終えることが出来ました。殿下は卒業パーティーのためにご来訪されていたので一旦帰国されました。  ローデント公爵家は王家に爵位返上する予定でしたが歴史ある家であることに変わりはないので、この機会に次兄のリオンお兄様が家を継ぐことになりました。一番上のお兄様はいずれ大帝国の大公になるので。そして今から三日ほどかけて私はアルバート皇太子殿下のお父君が(おさ)めておられる帝国に向かいます。婚姻は一年後でそれまでは皇后教育を受けます。帝国に着くまで時間がかかるので早めに国を出なければならないのですが…… 「カティア、一度……少し考え直すつもりはないか?」 「ありません。お父様、しつこいですよ」 「う……だ、だが」 「旦那様、カティアが困っているでしょう。あまりしつこく止めるとカティアが怒ってしまいますよ。この子はこれで短気なところがあるのですから。特に自分で決めたことに口を出されることが嫌いだと、旦那様もよく分かっておられるでしょうに。カティアに嫌われますよ」  そうです。お父様が本当にアルバート殿下で良かったのかと馬車に乗ろうとしていたところを引き留めておられるのです。  お父様の隣に並んで笑顔を浮かべているお兄様達もお父様を止めないあたり同じ気持ちなのでしょうね、おそらく。レイモンド様ではなくアルバート殿下が婚約者ならどんなに良かったか、と何度も繰り返していたのはお父様達ですのに、そのことを忘れているのでしょうか? 「きらっ」 「ふふ、嫌いになったりしませんから落ち着いてくださいまし。結婚までに一度は帰ってくる予定ですから安心してくださいな」  嫌われる、という言葉を聞いた途端に石のように固まってしまったお父様に笑いかけると、ようやく解放してくださいました。その隙に馬車に乗るとなんとそこにいたのはアルバート殿下。帰国したと聞いておりましたが…… 「お久し振りです、カティア殿下。今日も美しいですね」 「あ、ありがとうございます。殿下は何故こちらに……?」 「皇帝陛下への報告等は全て従者に任せたのですよ。せっかく長年の片想いが実ったのですから出来る限り貴女と一緒にいたいですしね」 「そっ、そうですか……」  皇帝陛下への大事な報告が伝言とはこれまた雑と言いますか……親子仲がよろしいのですね……?私も殿下と一緒にいられるのは嬉しい限りですけれど。
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