悪役令嬢と言われましたけど、大人しく断罪されるわけないでしょう?

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「殿下、私のことはお好きなように呼んでくださって構いませんよ。敬語も要りません」 「それならティアと呼ばせてくれる?私のことも名前で良いよ」 「ではアルバート様と呼ばせていただきますね。なんだか慣れないので恥ずかしいですが……」 「んんっ……やっぱり可愛い」 「おい、イチャつくな」  アルバート様とお話ししていると馬車の外から声を掛けてきたのは……一番上のお兄様ですね。お父様の次はお兄様ですか。 「リオンお兄様?ちょっとこの方を屋敷に閉じ込めておいてくださる?」 「ふっ……兄上、お兄様とも呼んでもらえないなんて可哀そうですね。大人しくしていれば良かったものを」 「嘘だ、黙っているから屋敷には閉じ込めるな」 「それなら最初からそうしてください。アルバート様、そろそろ行きましょうか」 「そうだね。皇帝陛下によろしくお伝えください」 「ああ。カティアも元気で」 「はい。それでは私たちはこれで失礼致します」  長年のしがらみから解放されて、友人も本来の性格に戻り。好きな人とも結ばれ、家族も笑顔で。こんなに幸せなことがあっても良いのでしょうか?  いえ、長年苦労してきたのですからこれからは絶対に幸せになってみせますよ。一時はどうなることかと心配しましたが、私が思う一番円満な終幕を迎えることが出来ました。現実は物語のようには行きません。悪役令嬢だって幸せにはなれます。ヒロインでも不幸になることはあります。自分の思うままに事を動かしたいのなら………自分自身の人生を捨てる覚悟で、それもかなりの時間をかけて物語を動かさないといけないのですよ。  悪役令嬢と言われましたけど、大人しく断罪されるわけないでしょう?ねぇ、自称ヒロインさん?  ◇ ◇ ◇  最後までご覧いただきありがとうございました!この話はこれにて完結となります。いつか番外編や後日談などを書くかも……?  すべてはカティアの掌の上だったということですね。親しくなればなるほど、その人のことを知っていればいるほど心の奥底では何を考えているか分からない主人公を書きたかったのですが、うまく書くことが出来たでしょうか?  短編を書くのは初めてで想定以上に長くなってしまいましたが、いつかまた書きたいなと思っています。  改めまして最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
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