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あの後、会場内で私たちの会話を聞いていた方々に祝福のお言葉を頂き、お互いの国への報告もあるからと私たちだけ早めに帰らせて頂くこととなりました。そして今───
「それで、レモーネ公爵家は今回の件についてどう落とし前をつけるつもりだ?まさかカティアの方にも非はあった、なんて言わないだろうな?」
「そ、それは……」
「お父様、私からも言いたいことがあるので少し変わって頂いても?」
「ああ、好きにしろ」
「ありがとうございます」
ローデント公爵家の客室、お兄様方を含めた家族全員が怒りを抑えているのが分かります。そんな私たちのテーブルを挟んだ正面に座って青褪めているのはレモーネ公爵家の皆様。公爵家も、冤罪で婚約を破棄したのだから動かないわけにはいかないのでしょうね。しかもその相手は大帝国の皇女だったわけですし。
「公爵夫人、いつもの嫌味はどこに行ったのでしょうか?家族には報告済みですし、この場でも遠慮なく言ってくださって構わないのですよ。それとも自分より上の立場だと分かった瞬間態度を変えるのですか?おかしいですね。「レイモンドには媚びを売っているくせに私には失礼な態度しか取れないのかしら!私は相手によって態度を変える人間が嫌いよ!」とおっしゃられていましたのに」
身分制度と言うものが存在する以上、相手によって態度を変えるのは当然のことでしょうに。それは下の者に対しても対等に接することが出来る人が言う言葉であって、愛する息子の婚約者だからと言う理由で嫌がらせをする方の言う言葉はないと思うのですよ。公爵夫人はそのことについてどうお考えなのでしょうね。
「私からするとおっしゃられていることと行動が矛盾しているように思えたのですよ。公爵夫人はどう思います?」
「なんだかんだ言ってカティアが一番鬼畜じゃないか……」
「………」
「誤解しないで頂きたいのですけど、責めているわけではありませんからね。ただ私の意見を述べただけですので答えたくないのならそれで構いませんよ」
答えられないと言うのが正しいのでしょうけど。
俯いたまま何も話そうとしない公爵夫人を見ればそれくらい誰でも分かりますよね。まあ正直、公爵夫人はどうでも良いのですよ。面倒だったとはいえあの程度の嫌がらせで辛くなるほど弱くないですから。あれくらいで堪えていては皇女なんてやっていられません。
「問題は……」
「ご子息の方だな」
お父様の言葉に呼ばれた本人であるレイモンド様はあからさまに緊張した表情になりました。ここからはお父様にお任せましょうか。レイモンド様は冤罪であったことを認めるのか、それとも言い訳を続けるのか……楽しみですね。いくら何でも冤罪であることをまだ知らないなんてことはないでしょうから。
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