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男性は莉子というよりも、莉子を覆う見えない何かを見回す。
莉子は綺麗な長髪の男性が物珍しくて思わず見惚れる。
「ふふ。そんなに見つめられると困りますね。」
『あ、すみません。とても綺麗な髪だなと思いまして』
「髪ですか…」
「いえっ、髪だけでなく綺麗な方だなと‥」
何を言っているのだろうと、恥ずかしくなり頬が朱色に染まる。
これもきっと魅了魔法のせいだ。
「ふふ。とても嬉しいですね。
あなたにかかってある魅了は、やはり特殊な魔法のようです。 解除は難しい」
そう言った後、膝の上に置いてある私の手に、自分の手を重ねる。
「そうですね。出来ないことはないでしょうが。
ですが、あなたは解く方法をご存知なのではないですか?」
「何か思い当たることがあるようですね。」
「あの、魔法使いさんは」
「イアンだ。」
「え?」
「私の名前はイアンだ。」
『イアンさま、私は莉子です」
「あなたといると、自分が人見知りだったのを忘れそうになります。なぜかとても安心します。来てくれてありがとうございます」
「いえ」
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