第1話 平和が一番やで〜

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「せやな。流血沙汰は勘弁して欲しいわな。平和が一番やで〜」  ”鬼神”の総長である"宇賀神 暁(うがじん あきら)"さんは人望も厚く、みんなが憧れる存在だ。  だけどそんな宇賀神さんが認める、唯一の存在を私はよく知っている。彼が指名した人なら、”鬼神”のメンバーは誰も反対しないと思う。  だから、本当に宇賀神さんが”鬼神”の総長を引退すれば、次期総長は必然的に── 「ほらほら、暴走族の話はもうやめて歌おうよ! あ、楓怜リモコン取ってー!」  優希ちゃんの声で、考え事をしていた私の意識が引き戻された。  まあ、私がいくら考えても仕方がない。  暴走族の継承問題なんて、私にはまったく関係ない話なのだから。  ──なんて思っていた時期が私にもありました。  この時はまさか私がこの継承問題の中心になるだなんて、夢にも思わなかったのだ。
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