第13話 まるで恋する乙女のように。

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 と同時に、緊張が解けたのか、身体の力が抜け落ちそうで。  ものすごい重圧に、未だ恐怖で心臓が震えている気がする。  オリヴェルさんはただ、ブレスレットを見ていただけなのに……。 「この神殿の中でしたらどこへ行かれても構いません。ですが、くれぐれも外へは出ないでください。とても危険ですからね」 「……はい」  私はただ一言、返事をするだけで精一杯だった。 (……はあ〜〜。それにしても困ったなぁ……)  私は声に出さないように、心の中で盛大なため息を吐くと、机の上に上半身をうつ伏せにして、だらしなく寝そべった。  神殿から出ない限り、何をしていても良いと言われた私は、お言葉に甘えて今日も図書館にやって来ている。  神殿の中を見て周りたいと思っても、この神殿はとにかく広い。  窓から見える景色が、丸っと神殿の敷地だと聞いた時は、あまりの広さに驚いたほど。  そんなに広いところに出れば、方向音痴な私が迷子になるのは目に見えている。  だったらこの世界にもうちょっと慣れてから神殿を歩き回ろう、と思ったのだ。
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