第13話 まるで恋する乙女のように。

5/8
前へ
/115ページ
次へ
 私を元の世界に帰したくないオリヴェルさんは、きっと邪魔をしてくるはず。  ……何か方法を見つけなきゃ。  だけど、方法といっても私には知識が無い。  やっぱり私はここで、足りない知識を補う必要がある。  ──そして、私を助けてくれる仲間も。  私はベルを鳴らし、ヘリヤさんを呼び出した。 「ヒナタ様、お呼びでしょうか?」 「お忙しいのにすみません。お願いがあるのですが」 「何なりとお申し付けください。神官長様より便宜を図るよう指示されていますので」 「じゃあ、神聖力や魔力について詳しい方はいませんか? 出来れば女性の方が良いんですけど」  私がこの世界で使えるものと言えば、神聖力ぐらいだ。  量だけはあるみたいだから、使いこなせるようになっておきたい。 「女性の方、ですか? 神官長様がここでは一番詳しいと思いますが……」 「そう思いますけど、オリヴェル様は美しすぎて……。その、気になって勉強に集中出来ないかも、しれませんし……」  私はちょっと恥ずかしそうに、照れ気味に言った。  まるで恋する乙女のように。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加