第13話 まるで恋する乙女のように。

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 だから、なるべくあの人とは距離を置きたいけれど……どうしても食事は一緒になってしまうんだよね。  とりあえず、賽は投げられた。後は自分で道を切り開かなきゃいけない。  私はヘリヤさんが先生を連れて来てくれるまで、本を読んで待つことにした。  しばらく読書していると、ヘリヤさんが図書室に戻って来た。 「ヒナタ様、お待たせしました。こちらミシェレ様です。このドレクスレル神殿の筆頭書記官様なんですよ」  ヘリヤさんが連れて来てくれたのは、眼鏡をかけた壮年の女性で、とても上品な人だった。 「は、初めまして! 私はえっと……姫詩と申します」  私は慌てて立ち上がってお辞儀した。  神殿の筆頭書記官って……! 役職名を聞くだけで、とても偉い人なのだとわかる。  まさかヘリヤさんが、そんなにすごい人を連れてくるとは思わなかった。 「あぁ……! 貴女様がリーディア様の御魂をお持ちのヒナタ様なのですね……!」  ミシェレさんが、私を見て目を潤ませている。  まるで、大ファンの推しに会ったかのような表情だ。 「あ、えっと……」
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