第13話 まるで恋する乙女のように。

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第13話 まるで恋する乙女のように。

 私が図書館に行った次の日。  オリヴェルさんが言った通り、朝食にフィテーラが提供された。  昨日とは具が違っていて、とても美味しいと思うけど、夜に考えていたことが頭に残っていて、味わう余裕がなかった。 「あの、何か私がしなければならないことって無いんですか……?」  私は朝食を食べ終わった後、オリヴェルさんに聞いてみた。  元の世界のお話では、瘴気を浄化して欲しいとか、魔物を倒すのに協力して欲しいとか、何かしらの理由があって、異世界に召喚されている。  だから私を召喚したオリヴェルさんにも──この世界にも、何か困ったことがあるんじゃないかな、って。 「いえ。リーディア様は何もされなくて結構ですよ。図書館へ行くなり、庭園を散歩するなりお好きにお過ごしください」 「……え」  まさか何も頼まれないとは思わなかった。  思わず絶句する私に、オリヴェルさんは優しく微笑んだ。 「リーディア様がこの世界に存在してくださるだけで──それだけで十分です」  オリヴェルさんはそう言って、私の手をそっと取った。  まるで、大切な宝物に触れるかのように。 「私は──」
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