プロローグ

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プロローグ

 私の名前は山田 姫詩(やまだ ひなた)。十六歳になったばかりの女子高生だ。  普通の家庭に生まれ、優しい両親に育てられた私は真っ当に育ったと思う。  真っ当と言っても、両親に迷惑をかけたことがないぐらいの、普通レベルだけれど。  もし私に罪があるのなら、どんな罪になるのだろう?  もしかすると、小さい頃から正義の味方より、悪役が好きなことかもしれない。  悪役が好きと言っても、悪が好きという訳ではなくて、私自身は悪さや意地悪なんてしたことがない。  だから悪役が好きなことが罪になるのなら、一体どれぐらいの重さの罪になるのかな。  神様が決めた罪の基準なんて、普通の人間にわかる訳もないけれど。  っていうか、それ以前に個人の趣味嗜好が常識と違うからといって罪になるの?  それなら世界中罪人だらけになるんじゃない?  どうして私がこんな罰を受けなきゃいけないの?  ──どうして、大好きな人と一緒に過ごす大切な時間を、奪われないといけないのか……いくら考えても、答えは見つからないままで。
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