あの山では、ものすごいものと出会うらしい

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 朝の鐘が鳴る。そろそろ起きなきゃ。今日も雲ひとつなし、いい天気。  また一つ、朝焼けの中で伸びをして、ココロの一日が始まった。 「ココロいる? お父さんの知り合いがね、案内頼んでるの」  遊び仲間の女の子が、お昼過ぎに訪ねてきた。よろしくお願いします、と入ってきたのは小さな子供連れの家族。子供が期待で瞳を輝かせて、ココロの方を見上げていた。 「この子に、小さいうちに、貴重なものは見せてあげたいんです。評判のモンスターを」 「分かりました! 小さな子は山道、疲れちゃうかも……大丈夫?」  子供は被っていた帽子をぐいっとあげて、得意そうに指を二本立てて突き出した。  子供連れなら登山も時間がかかる。夕方、日暮れ頃に麓を出発する。歌を歌いながら、山の木々の間から街並みを説明しながら、ココロは旅人を案内する。 「さあ気をつけて。もうすぐ着くから、ゆっくり、慎重にね」  見たいものを見せてあげるには、然るべき時間に間に合わないと見損なってしまう。  子供はもちろん両親も、幼子のようにきょろきょろ辺りを見ながら登っていく。  そして目的地に辿り着くと、三人揃って目を瞬き、うわぁっと叫び声を上げた。 「これは、思ってもみなかった……」
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