3#故郷は近い!ラストスパートだ!

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 忌まわしき山脈の激しい暴風を抜けたツルのリーダーのベクターの生き残った群れは、眼下に大海原の広がる快晴の大空を飛んでいた。  「アコ、もう一度見たかっただろ?!あの懐かしい芦の茂みを・・・」  「ユヤ、君の翼は俺の翼が預かった!一緒に故郷帰ろう!!」  残された仲間たちは、暴風の犠牲になった仲間の分までと、大きな翼をはためかせて一生懸命になって鉤状の編隊を作って、生まれ故郷の広大な湿地帯目指した。  眼下の大海原には、シャチの群れがこのツルの群れに合わせるように、グングン泳いでいるのをリーダーツルのベクターは見つけて発奮した。  「シャチ!」「シャチだ!」  仲間の群れは、勇壮なシャチの姿に今までの苛烈な死出の旅の心労が癒やされた。  「みんな!!真下のシャチの群れに続け!!  あのシャチの行くところ、僕達の生まれ育った湿原のある巨大な島がある!!  さあ行こう!!」  リーダーツルのベクターは声を上げた。  キラキラした大海原の波を伸び上がるシャチ達にツルのベクターとその群れは、上空ならついて行くように生まれ故郷の湿原のある大陸へ向かって飛んでいった。
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