1女たらし

1/6
前へ
/54ページ
次へ

1女たらし

 ソルはカプリコット皇国の王宮で下働きをしている19歳の女性だ。  元々は子爵家のひとり娘だったが15歳の時に両親を亡くして家は没落、あっという間に屋敷は人手に渡り働かなくてはならなくなった。  幸い人づてに王宮での仕事を紹介されて以来、王宮の下働きとして日々を過ごしている。  なんの楽しみもないような暮らしだが、王宮にはたくさんの王族や貴族が出入りしてその人たちの姿を眺めるのは楽しかったがある意味羨ましくもあった。  そんな中で第3皇太子のブロス殿下に出会った。  彼の母親は平民の出だったが一度は側妃として王宮に入ったものの、別の男と結婚したいと皇王と別れた。  その代わり皇太子であるブロス殿下は王宮に残すという条件だったらしい。  ブロスは母親からは捨てられたように思い皇王からも3番目の男子と言うことで蔑ろにされてきた。  そんな訳でブロス様は大層自分本位な男に育ったらしい。  それでも、母親の見目麗しいお顔立ちや輝きを放つ銀髪、吸い込まれそうな翡翠色の瞳を引き継いだおかげか女性との噂は後を絶つ事がなかった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加