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ソルは急いで一歩下がる。
「たまたま通りかかっただけだ。私は甘いものは好まん。お前になら菓子も喜ぶと思う。だから…さあ」
「で、でも…」
そう言っている間に菓子を押し付けられた。このままでは菓子がつぶれてしまう。そんな心配が脳をよぎり思わず菓子を受け取った。
「それでいい。さあ、食ってみろ」
「はい…お、おいし~…あっ、とても美味しいです」思わずほっぺたが落ちそうになるほどその菓子は美味しかった。
二度と食べれないような菓子をすぐには飲みこめなくて何度も咀嚼していると「喉が詰まるか?」心配そうに翡翠色の瞳が揺れた。
ソルはそんなブロスに一目で恋に落ちた。女たらしの男と知っていながら…
受け取ったのがそもそもの間違いだった。
その日を境にブロスは毎日のようにソルの所にやって来ては珍しい菓子だとか、土産を貰ったなどと言ってあれこれソルにものを持って来てくれるようになった。
それはきれいな櫛であったり、しおりやきれいなリボン、レースであったりした。
彼にした見れば大したものではないこともわかっていた。
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