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「もぉ、早く飲んで。ほら、喉乾いたでしょう」
クリストフは一気に果実水を吸い込む。
「どう?このオレンジ私が絞ったんだけど…」
「ゴホッゴホッ」
俺の為にソルが自らオレンジを…もっとゆっくりの飲めばよかった。
ソルの手が俺の背中を行ったり来たりして怪我をしている所には触れないように気遣っているのが分かる。
優しいソル。可愛いソル。俺の…じゃなかった。
ソルが突然声を上げた。
「あの熊のぬいぐるみって…」
クリストフの部屋に飾りらしいものはほとんどない。
唯一あるのは子供の頃ソルから貰った熊のぬいぐるみ。赤茶色の毛をした熊で瞳の色もクリストフと同じ薄い茶色のぬいぐるみ。
クリストフの脳裏にあの時ソルが言った言葉が昨日の事のように蘇る。
”ソルがお母さんと一緒に作ったのよ。目はクリストフと同じ色にしたの?どう可愛いでしょう?クリストフが大好きだからお揃いにしたのよ。”
そう言ってくれたぬいぐるみ。それはクリストフの宝物になった。
そして今でも大切な宝物だ。
「ソルがくれたぬいぐるみだ」
「まだ大切に?どうして…」
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