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2捨てる神あれば拾う神あり
それからしばらく経った。
ソルはブロスの事を忘れようと必死で仕事に精を出した。
ブロスを時折見かけて胸が締め付けられる。それでも諦めるしかないんだと自分に言い聞かせた。
なのに…
下働きを取り仕切る女官長のハシビに呼び出された。
「ソル、あんたは今日で首だ。今日中に荷物をまとめて出て行ってくれ」
「えっ?どうしてでしょうか。私何か失敗をしたんでしょうか?出したらお詫びします。ここを追い出されたら行くところがないんです。お願いします。どうか、もう一度考え直して頂けませんか?」
ソルは縋るように女官長の足元に跪く。
「ったく!私だってあんたがきちんと仕事をしてるのは知ってる。でもねぇ…皇太子殿下の命令なんだよ。だから、逆らうことは出来ない。わかっておくれよ」
「それって…どういう…?」
「あんた派手に殿下と…だっただろう?それが婚約者の耳に入ってねぇ…相手は高貴なご令嬢だろう?殿下がそんな卑しいものと関係を持っていたと分かれば…それに同じ王宮内の女じゃ…ねぇ。私があのくそ女たらしの婚約者でも同じことを思うんじゃないかねぇ…」
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