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プロローグ
薄ピンク色の花弁が、柔らかく暖かな風に吹かれてふわふわと舞い散る季節。
憧れの彼女と、六年越しの再会を果たして冷たくあしらわれてしまったあの日から、丁度一年が経過した。
彼女にも事情があったとはいえ、当時酷く悲しい思いをした彼は現在、
「ミヤ! クラス替え、今度こそ同じクラスになれるかな?」
「ちょっとイブくん。同じクラスとかそれ以前に私たち、中等部と高等部っていう分厚い壁があるのよ?」
「愛があれば学年の差なんて!」
「日本では、義務教育をすっ飛ばしていきなり高校生にはなれません」
「えぇー!」
大好きな彼女とそんなふざけたやり取りが出来るほどの関係になれたことを、激しく喜んでいた。
すっかり通い慣れた通学路を二人で並んで歩きながら、
「ミヤは今年はついに受験生かぁ」
「言わないで。新学期早々、気が重くなるわ」
進級したのだという実感を嫌々ながらに噛み締める。
苦々しい表情を浮かべる彼女を見て、
「受験勉強も大学進学も、無理してする必要ないんじゃない?」
彼はふと提案。
「将来、僕のお嫁さんっていう永久就職をしてくれるのなら、無理して勉強していい会社に就職しなきゃ! とかもしなくていいし」
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