4 おかえりの店、店主一年生 ダルマ

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4 おかえりの店、店主一年生 ダルマ

 何で『おかえりの店』なんて名前にしたの?  と、よく聞かれる。  理由はナイ。  いや、無いこともないか。  核家族、最近は核家族より少ない独居者が増えている。  その心の内は計り知れないが、迎えてくれる人がいるって言うのは、さみしい心をちょっぴりは癒してくれると思う。  そう思うのは自分自身に身寄りがなく、「ただいま」を言う機会に恵まれなかったからかも知れない。 「おかえり」と「ただいま」は、帰る場所があると言う、心が強くなれる魔法の言葉。 「ただいま」は、「おかえり」と言う言葉があってこそ、生きる。  あなたを見ているよ。  あなたを気にしているからね。  何気ない言葉には、そんな意味も籠もっている気がする。  だからこそ、言う場がない人達を魔法の言葉で迎えたい。  それが「おかえりの店」という店名の由来かな。  恥ずかしくってこんな話、人に言う気もないけどね。 「ダルマ店長! ただいま!」  バイト君が今日も、笑顔でやって来た。 「おかえり」  ただいまとセットの言葉で、バイト君を迎える。  さて。  今日は、どんなお客様が帰ってくることだろう。 〈了〉  
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