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思ってもみなかった、シャノンの弱点。
マイペースでクールぶって、いつも偉そうなシャノンが実は猫舌。
そう思うだけで、バージルは愉快で堪らなくなった。
「マジかっ。お前っ、その顔で熱いの苦手とかっ……ははっ」
「笑うな。顔は関係ない」
顔は怒っていても、猫舌だと認識していれば全く恐くない。
むしろその対比が面白くて、バージルは腹部を両手で押さえて足をバタバタさせた。
「ふはっ……! やめてくれっ、腹痛くて食べれねぇっ!」
アルカードは呆れながら、魚を乗せた皿を二人に差し出した。
「笑い過ぎじゃ。まぁ、とてつもなく可愛いがな」
「うるさい……さっさと黙って食べろ」
シャノンは不愉快そうにパンを食べ、時々思い出した様に笑う二人を鋭く睨んでいた。
三人での食事は、思っていた以上に楽しげ。
心から笑える日々は、もう来ないかもしれない。そんな絶望感を感じた時もバージルにはあった。
でも、シャノンを前にしてこんなに笑う事が出来た。そんな新鮮な驚きが、新たな生活への糧になり得そうだ。
暮らしに対する不安も、バージルの中では薄れていた。
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