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ロスト・フラグメント
(どこだ・・・ここ?)
現実味の欠けたふわふわとした意識で宵闇は周囲を見回す。
立ち尽くす宵闇の前、真っ白い空間に広がる砂と瓦礫の山に、3人の少年少女が座っていた。
亜麻色の髪を束ねた、騎士風の出で立ちの少女が言う。
『私たちは変わらないわ、なにがあっても』
応えたのは少年の内1人。
短い金髪の前髪の端だけ長い、少し風変わりな髪型のローブ姿の彼は笑う。
『ああ、オレたちが離れるなんてあるもんか!そうだろ?』
問いかけられたもう1人の少年も、持っていた本を閉じ深く頷いた。
翼島でたまに見る前留めの学士服を着た黒く長い髪を肩辺りで布でまとめた少年は、やさしく微笑む。
『俺たちは仲間だ。たとえ住む国が離れる事があっても、な』
そして繰り返す。
絶対に・・と。
視界が薄れる。
少年も少女も、彼らの座っていた瓦礫も下に広がる砂も、風に吹き消される霧のように無になっていく。
『忘れないで』
そんな声が聞こえた様な気がした。
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