33人が本棚に入れています
本棚に追加
私が頷くと、行商人さんはニコリと笑った。
「早く行きましょう。2時間もあれば、私の国ですよ。神聖魔力があれば、アンデットに怯えずに済むんですが、あ!」
行商人さんは、何かを思い出したように立ち止まり、私の顔をみて目をパチパチとさせた。
「まさか……神の恩寵を?」
◇◇◇
それから私たちは、行商人さんの故郷へと辿り着いた。
道中では何度か、アンデットの気配に怯えることもあったけれど、結局姿どころか影すら見えることはなかった。
「この国は、アンデットに滅ぼされかけた歴史がありますから、神聖魔力の持ち主は特に尊敬されますよ」
国に入ってすぐ、行商人さんに連れられたのは、教会だった。
もしかしたらということらしく、何が何やら分からぬまま、司祭服に身を纏う方が持ってきた石に触れた。
「おお!神聖魔力だ、しかも第一位階の!」
その方はひどく驚いていた。
神聖魔法も教会も私には縁遠いものだったので、ポカンとしていたら、司祭さんが饒舌に語ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!