真っ赤な手の嘘つき娘は聖女でした〜この国を捨てて、他所の国を救います〜

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一気に布染めを行ったから、仕事用の水樽が、半分近くに減っていた。 生活用の井戸水は、まだまだ現役で使えるから、飲水には困らないし、明日また布染めするわけじゃないから、急ぐ必要はないんだけど。 雨が降りそうだからなあ。 川の水位は上がるんだろう。 「はあ。もう一息頑張ろ」 近づけなくなる前に、今日行くしかないだろう。 凝り固まった腰を揉んだあと、水桶を両手に川へ向かった。 私の家は山頂付近で、かなり標高が高い場所にある。 ほとんど誰も来ないし、私も山を下ることはあまりないので、孤独に自然と暮らしている。 といっても、定期的に商人さんは来てくれるけどね。 生活必需品、仕事に使う糸、布、染料など、必要なものを持ってきてくれる。代わりに私は染布や柄染めをして商人さんに売っている。 孤独とはいうけれど、真の孤独でないのが私の支えでもある。 昔は父もいたんだけど、3年前ぐらいに亡くなってしまった。
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