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お魚さんに申し訳ないことをしたなあと思いつつ、自分のすべきことに取り掛かろうとして、なんの気なしに手を見たら、真っ赤に染まっていた。
「ええっ!?」
川から引き上げてよくよく観察してみると、表も裏もまんべんなく赤くて、水を浴びた手首のあたりまで血のような色で染まっていた。
「染料かなあ」
素手で染め物をしているから、こういうことは稀にある。
ミミツバナをもとにした染料で布染めをすると、濃紺に染まるし、その手で酒精に触れると黄色く変化するし。
今日は初めて、ディプリエイの花から作った染料を使った。
淡い青の染料で、手は少しだけ青みがかっていたけれど、こんなに真っ赤に染まるなんてなあ。
なにかに使えるかも。
色々と思案していると、不可思議なことに気づいた。
私は今、水に触れたんだ。
水に触れただけで赤く染まる染料。
「おかしい」
染料粉は水で溶いて、それから布を浸すものだ。
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