真っ赤な手の嘘つき娘は聖女でした〜この国を捨てて、他所の国を救います〜

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淡い青が美しかったのをハッキリ覚えている。その後に変色もしなかったから、大満足だった。 でもこの川の水に触れたら、赤くなった。 たしか、今の水樽の水は2日前に汲んだものだ。 2日前の川の水なら、問題なかったってことなの? 「……てことは、水に問題があるってこと」 私はよくよく川を見つめる。 いつものせせらぎ、いつもの透明度、そして魚たちも元気だ。 見えない変化が起きているけど、私や魚には問題がない? 飲まなければ大丈夫なのか、人間が飲むと危険なのか……。 「危険かあ……警告色!」 自分が言った言葉で、思い出した。 ディプリエイの花は、毒素に触れると色を変化させる特性があることを。 黄色なら弱毒、赤な猛毒。 花を枯らしてしまうほどの毒で、そのほとんどは人間にも害をもたらす毒と言われてる。 私はハッとして駆け出した。 この川は、麓の町につながる貴重な水源だ。 みんなが危ない。 ◇◇◇ 山腹には、小さな町がある。
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