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▽▲▲▽
上津は体の欲求まで満たす事ができて、潜伏生活だというのに何一つ不自由はなかった。
だが、自由に外に出られないのは唯一不便に感じた。
八代に匿われながら、できるだけ真庭がひとりになるチャンスを待っていたのだが、真庭は次の若頭として就任するのが時間の問題となっていた。
もう巻き添え云々と言っている場合ではない。
多少仲間に犠牲が出たとしても、やるしかないと、上津はそう決心した。
上津が八代の元で潜伏生活を始め、2週間が過ぎようとしていたある日、上津は遂に真庭を殺る機会を得た。
店の若い子からの情報によると、真庭は今夜若頭代理として飲み会に出席するらしい。
この手の飲み会は会合を兼ねている事が多いのだが、今夜の集まりは単なる懇意にしている連中の集まりだと言う。
単なる飲み会レベルならやりやすい。
これを逃すと次はもうないかも知れず、上津は今夜襲撃する事に決めた。
すると、八代が自分達も協力すると言いだした。
気持ちは嬉しいが、世話になった相手をこんな事に巻き込みたくない。
上津は断わったが、八代は1歩もひかず、店で雇っている子の中で、ガタイのいい子を3人連れて行くと言った。
そこまで言われたら仕方ない。
上津は八代の気迫に負けて渋々OKした。
……………
夜になり、目的のキャバクラに向かった。
オカマ勢は目立たないように男の服装をしてノーメイクだ。
皆ガッチリとした体格でヅラ無しだと短髪だから、一見ヤクザかと思えるような風貌をしている。
「奴らが出てきたら、駐車場へ行くまでがチャンスね? それでいい? あってる?」
「あたし達は付き人を押さえるのが役目よ、気合いを入れてやらなきゃ」
連れてきたオカマの内2人が、確認し合う様にヒソヒソ声で話す。
計画では上津が真庭をやり、オカマ勢は付き人を押さえ込むという事にしている。
上津と八代+オカマ3人は、目的のキャバクラが見える路地に隠れて様子をうかがっていた。
「あんた達、失敗は許されないわよ、怪我をしたくなければここは男に戻りなさい、いいわね?」
八代は連れてきたオカマ達を奮起させるように言う。
「わかったわ、みんな、頑張りましょ、今だけ男に戻るのよ」
オカマ勢はやる気満々でキャバクラを見張っていた。
時は刻一刻と過ぎていき、時刻は零時過ぎ。
そろそろ奴らが出てくる頃だと思い、皆それぞれに緊張した面持ちになっている。
そんな中で、真庭が子分をひとりだけ引き連れて店から出てきた。
上津はできるだけ子分には手を出したくなかったので、ひとりだけだとわかってホッとした。
真庭は自分が狙われているとも知らず、上津が西和会に殺られたと判断し、若頭就任を目前にして完全に油断しきっていた。
キャバ嬢に見送られ、酔いが回っていい気分で駐車場に向かった。
但し、子分は万一に備えて殆ど飲んでない。
真庭を警護するように斜め後ろを歩いて行く。
上津達は真庭達が店から離れ、暗い道にさしかかり、真庭達を待つ迎えの車が見える所まで来た時に……一気に襲いかかった。
上津は真っ直ぐに真庭を捕え、胸ぐらを掴んで思い切りぶん殴った。
「オラァ! よくもハメやがったな」
「っぐ!」
真庭は意表を突かれ、反撃する事も出来ずに後ろに倒れ込んだ。
「ちょっと~、おとなしくしなさい!」
「おとなしくしなきゃ、殴るわよ、オカマだからってなめんじゃないわよ!」
一方で、オカマ勢は付き人の子分を寄って集って押さえ込んでいる。
「うわ、な、なんだこいつら」
オネエ口調で絡みつく男達に、子分は狼狽えて身動きできない。
その間に上津は真庭をボコしていた。
上津は真庭のせいで嫌って程恥辱を味わう羽目になった。
それもムカついたが、自分の補佐だった時は嘘みたいに従順に振る舞っておきながら、見事なまでに手のひらを返した。
自分の信頼を裏切った事が何よりも許せなかった。
上津は何度も繰り返し真庭を殴り、真庭はしまいには音を上げて上津に哀願してきた。
「許してくれ、これ以上殴られたら死んじまう、悪かった、カシラ……この通りだ、頼む」
真庭は泥だらけになって口から血を流し、じべたに這いつくばって土下座する。
「てめぇは組から去れ、絶縁、永久追放だ」
ズタボロになった真庭を殺るのは、今の上津にとって簡単な事だ。
だが、上津は許しを乞う真庭の命までは奪わなかった。
あくまでも、若頭として真庭に処分を下す。
「わ、わかりやした……」
真庭は腕を立てて顔をあげ、ガックリと肩を落として頷いた。
上津が真庭をボコしてる最中、オカマ勢は子分の身体中を触りまくり、気づけば皆で股間をまさぐっている。
「やだ、この人タイプよ」
「ちょっとあんた、なにしてんの、あたしにも触らせて」
「うわ、どこ触って……やめろ」
実は……オカマ達が興奮のるつぼと化してる時に、待機中の迎えの車の中には運転手の若い衆がいたのだが、若い衆は死んだと思った上津の登場に唖然となり、複数人が乱闘する様子に圧倒され、成り行きをただ茫然と見ているだけだった。
「ちょっとあんた達、オーナーを差し置いてなにやってんの、あたしに貸しなさい」
オカマと言えども、昔は格闘技をやっていた奴も混ざっている。
4人がかりでやれば、子分ひとりを押さえ込む位簡単な事だったが、八代まで調子に乗って子分の股間へ手を伸ばす。
「わあ、変態、つか……きめー、やめろー!」
上津は呆れた表情で揉みくちゃにされる子分を見たが、もう気は済んだ。
「おい、もういい、離してやれ」
真庭がじべたにひれ伏し、自分が戻って来た今、子分がこれ以上歯向かうとは思えず、オカマ達に向かって言った。
「わかったわ、ほらあんた達、もうお楽しみは終わりよ」
「あら、もうちょっと楽しみたかったのに」
八代が連れてきた3人に言うと、オカマ勢は残念そうに子分を離した。
「カ、カシラ……、生きてたんすね」
子分はよろけながら上津の前にやって来て言ったが、目には薄らと涙が浮かんでいる。
黒龍会の子分の中で、上津を嫌う者はひとりもいなかった。
むしろその逆である。
子分は上津が生きていた事に感極まって涙を流した。
「ああ、こいつのせいでちょいと痛い目に合わされた、こいつは……この真庭は裏切り者だ、親父が信じるかわからねーが、そん時はそん時だ、俺は真庭が許せなかった、それだけだ」
上津は子分に向かってざっくりと訳を話した。
「っ……」
真庭は俯いて地面を睨みつけている。
「とりあえず、ふんじばって親父んとこに連れていく、お前、ネクタイを外してこいつを後ろ手に縛れ」
上津は項垂れる真庭を見て子分に命じた。
「あ……その……」
子分は狐につままれたような気持ちでいたので、さっきまで若頭代理だった真庭をいきなり縛れと言われて躊躇したが、目の前に立って命じているのは、間違いなく本来のカシラである上津だ。
カシラの命令には逆らえない。
「はい、わかりました」
子分は慌ててネクタイを外し始めた。
上津は呆気ない幕引きに力が抜ける思いがした。
しかし、これで真庭も終わりだと思い、安堵して何気なく真庭に目を向けると……真庭は上体を起こして銃口を自分に向けていた。
「てめぇも……道連れだ!」
真庭はヤケクソになって叫び、上津は『やべぇ』と思ったが、『避けきれねー』と思って撃たれる覚悟をした。
その直後に『パンッ!』と乾いた音が響き渡り、『殺られた』……と思ったが、どこにも痛みが走らない。
代わりに真庭が「うぅっ!」と呻いてバタッとうつ伏せに倒れた。
真庭の背中から血が滲み出し、スーツを赤く染めている。
上津は一体何が起きたのか分からなかった。
「な、なんだ?」
怪訝な顔で辺りを見回した。
すると暗闇の中から2人の人影が見えてきた。
上津は警戒しながら2人を見ていたが、傍にやってきた2人のうちのひとりを見て愕然となった。
「よお、脱走兵」
ニヤついて声をかけてきたのは鬼藤だ。
もうひとりは知らない顔だが、鬼藤の仲間なのは間違いないだろう。
そいつが片手に銃を握っている。
真庭を撃ったのはそいつで、上津は自分が鬼藤に助けられた事に気づいた。
けれど、何故鬼藤が自分を助けたのか、何故都合よくここに現れたのか、なにがなんだかさっぱりだ。
眉間に皺を寄せて渋い顔をしたら、鬼藤が上津に向かって手招きする。
「おい、もう監禁したりしねぇ、お前とサシで話し合いてぇ」
上津が消えた後、鬼藤はガランとした監禁部屋に立ち竦み、なんとも言えぬ孤独感に苛まれた。
上津に対して個人的な感情を抱いてしまった事は、最早認めざるを得なかった。
もう一度この腕に上津を抱きたい、好きなだけ貫いてよがらせてやりたい。
上津は自分に抱かれる事を容認していた。
だったら……この際、これまで対立してきた黒龍会と、和解する方向へ持って行けないか? と思いつき、頭を冷やしてどっちが得か思案した。
その結果、黒龍会と和解する方が自分らにとっても有益になると判断するに至った。
鬼藤はその話を組長にするにあたり、黒龍会と和解する事によって具体的にどれだけの利益がでるか、丁寧に説明をした。
その結果得た答えであり、既に西和会では和解する事は決まっていた。
「はあ? 何言ってんだ、大体なんでお前らがこんなとこに来るんだ」
だが、上津からしてみれば……鬼藤に助けられた上にサシで話し合いなど、青天の霹靂もいいとこで、すんなり頷ける筈がなかった。
「俺らを見くびるな、脱走したおめぇをそのまんま見失うと思うのか? 俺は前にお前と話した事が気になってたんだ、だからよ、わざとお前を泳がせて様子をうかがった、そしたら……やっぱ俺の読み通りだったってわかったんだ、裏切り者は若頭補佐の真庭だった、で、報復に出るお前らを見張ってた、そしたらよ、案の定おめぇは油断しちまった、ふっ……、つくづく詰めがあめぇ奴だな、俺らがこいつを始末しなかったら、お前は今頃お陀仏だぜ」
鬼藤は鼻で笑って言ったが、上津が逃げ出したあと、たった数日で上津の行方を突き止めていた。
それでも上津を襲撃しなかったのは、和解の事もあるが、上津は単に自分達から逃げ出したわけじゃなく、何かやらかそうとしていると感じ取っていたからだ。
「そりゃ……お前にそんな事を言われてムカつくが、確かにそうだ、けどよ、だからって、何故お前と話し合いをしなきゃならねぇ」
上津は鬼藤に助けられた。
悔しいが、これは紛れもない事実だ。
とは言っても、話し合いをする意味がわからない。
「お前は義理がてぇ奴だよな? 命を救ってやったんだぜ、恩人の頼みを無下にするって言うのか? 後始末はうちがする、あそこにいる運転手もな、お前らのうちわの揉め事に首を突っ込むこたぁできねーが、関わっちまった以上、できる事はしてやる、わかったか? わかったら、とりあえず……ついて来い」
しかし、鬼藤は意地でもついて来させるつもりだった。
上津にこれでもか! と、山ほど恩を着せて誘う。
「わかった、そこまで言うなら……行こうじゃねーの」
鬼藤の言ったように上津は義理堅い性格だ。
致し方ないと、腹をくくって承諾した。
「よし、じゃ、こっちだ、来な」
鬼藤は少し離れた場所に車をとめている。
上津を促すと、子分を引き連れて踵を返して歩き出した。
……………
鬼藤の車に乗り込んで連れて来られた所は、鬼藤の屋敷だった。
上津はもう2度と来たくなかったが、鬼藤は上機嫌で屋敷に迎え入れる。
今回は地下の監禁部屋ではなく、自分の部屋だ。
何の変哲もない殺風景な洋室だが、10畳以上はあり、高そうな革張りのソファーにテーブル、あとはキングサイズのベッドが置いてある。
そして、この一見つまらない部屋はバストイレ付きだ。
「まあ座れ」
鬼藤は自分の部屋で上津と2人きりになり、昂る気持ちを堪えて声をかける。
「ったく……、早く話をしろ」
上津はドサッとソファーに座ったが、早くこんな場所から出たかった。
「そう焦るな、なあ、俺はお前をまた監禁してもいいんだぜ?」
鬼藤は上津の隣に座って肩を抱いて言う。
「ふざけるな!」
冗談のつもりで言ったのだが、当たり前に上津は激昂して怒鳴った。
「あのな、冗談も通じねーのか?」
鬼藤は上津を失って以来、欲求不満になっている。
自分が目をかける子分を抱いたりしたが、やはり上津程満足感は得られなかった。
「ああ、通じねー」
だが、上津にとっては鬼藤が何故急に態度を変えたのかわからない。
不審感しかなかった。
「上津、お前はいちいちうるせーんだよ!」
鬼藤はイラッと来て声を荒げ、上津の顔をぐいと自分の方へ向けると、乱暴なキスをする。
「ぐっ……! んんっ!」
上津はムカついたが、久しぶりに嗅ぐ鬼藤の匂いにやられてしまい、体から力が抜けていった。
鬼藤は某ブランドの香水をつけている。
それが媚薬のように上津の意識を惑わせ、上津は腹を立てながら、体がどんどん熱くなっていった。
「上津……話し合いの前にヤラせろ」
鬼藤はムードもへったくれもなく、ストレートに欲望を露わにする。
「ば、馬鹿を言うな……」
上津は激しく動揺する自分を制する事ができずにいた。
「おめぇだって、俺が欲しかった筈だ」
鬼藤は開いたシャツの胸元に手を入れて、散々嬲った乳首を指先で捕らえる。
「や、やめ……ろ、俺はもう……」
乳首を摘まれただけで体の芯が疼いたが、上津は屈しまいと必死に抗った。
「また天邪鬼か、なあ、俺ら西和会はお前らと和解すると決めた、その方が互いに得するからだ、だからよ、同じカシラ同士仲良くやらなきゃ駄目だろ?」
鬼藤は上津の耳朶をしゃぶりながら囁くように言う。
「っ……あ、よせ、わ、和解するって言うのか? 親父が納得するかわからねーぞ」
上津は和解の話を聞いて、這い回る舌に苦悶しながら言った。
「ああ、それはうちが折れる形でなんとかする、なあ……それより、ナニがギンギンじゃねーか」
鬼藤は和解云々よりも、今はヤリたくてうずうずしていた。
上津の股間に手を伸ばし、膨らんだ股間を布越しに撫で回す。
「う”っ、あ……」
『こんなのは本意じゃねー』と否定したが、上津のソコは触られただけで痛みを感じる程、期待に張り詰めている。
「なあ、俺はマジでヤリてぇんだ、お前が欲しい、欲しくてたまらねぇ、頼むわ……なんとかしてくれ、命の恩人に体で礼をしろ」
鬼藤にもプライドはある。
懇願してまでヤルのは通常有り得ない事だが、相手が上津となれば別だった。
「く、くそ……、俺はお前のせいで変態になっちまったじゃねーか、ケツが疼くんだよ、コノヤロー! ああ……そんなにヤリてぇなら返してやる、だったらよ、まずは準備だ」
上津も、最早昂る体を認めるしかなく、『こいつに屈したわけじゃねー』と心の中で呟きながら鬼藤の頼みを聞き入れた。
「この部屋はバストイレ付きだ、ほら、こいつを使いな」
鬼藤はさりげなくポケットに手を入れ、イチジク浣腸を取り出した。
「はあ? そんなもんを携帯してんのかよ、変態が」
上津は苦笑いを浮かべて言った。
「へへ、なんとでも言え、早くやってこい、風呂はトイレの隣だ」
鬼藤は笑みを浮かべて促した。
「仕方がねぇ、わかった」
2人は無意識に表情を緩めていたが、2人共最低限のプライドだけは維持している。
なのに、まるで親しい間柄のように笑顔を見せていた。
……………
体の準備を済ませ、上津がベッドに上がると、鬼藤はシャワーを浴び終えた体で上津の上にのしかかる。
2人共生まれたままの姿だ。
「上津、ハッキリ言っちまうが、俺は……お前に惚れちまった、もう今度は冗談で言ってるんじゃねーからな」
鬼藤は欲しかった裸体を目の当たりにして、興奮を抑えきれなくなり、思いの丈が口をついて出ていた。
「だからよ……そんな事を言うな、俺はこんな事をしていてもホモじゃねーからな」
上津は鬼藤に惚れてるだとか、そんな事は認めたくなかったが、そもそもそっち側になるのを認めたくなかった。
「おお、俺だってホモじゃねー、ただそんなこたぁどうでもいい、お前をいたぶったあん時、おめぇのエロい姿を見て……俺は堪らなくなった、ただそんだけの事だ」
鬼藤もホモじゃないと否定したが、上津に対する思いは本物だ。
「お前な、どういう感覚をしてるんだ? エロいからって、そんだけで惚れんのかよ」
上津は呆れ顔で言う。
「うるせーな、んな細けぇ事はどうだっていいじゃねーか、このエロい乳首、俺が育ててやったんだ」
鬼藤はごちゃごちゃ話をする事がウザくなり、乳首にしゃぶりついて片手で上津の下半身をまさぐった。
「ちょっ……、あっ……!」
弱点を攻められ、上津の体がビクンと反応した。
「おい、すげー指に吸い付いてくるぞ、おめぇも欲求不満か?」
鬼藤はニヤニヤしながら言うと、上津のアナルを指で掻き混ぜる。
「んくっ……!」
上津の体内に太い指がズルッと入り込み、前立腺を探している。
乳首からくるジリジリとした快感も堪らなかった。
上津は息が乱れたが、全力で感じている事をひた隠しにする。
「馬鹿……言うな」
「こんなに感じといて、よく言うぜ、意地っ張りだな」
だが、残念ながら鬼藤にはバレバレだった。
ローションは初めから指にたっぷりとつけていたが、上津のアナルの中は熱くトロトロになっている。
鬼藤は興奮気味に指を動かしていった。
「つぐっ、ん”ん”っ! だ、駄目だ、そこはよせ」
前立腺を刺激され、上津は腰が砕けそうな感覚に襲われた。
これ以上やられたらヤバいと焦り、鬼藤の攻めから逃れようと体をよじった。
「逃がさねーぞ、素直に感じりゃいいものを、頑固な奴だ」
けれど、鬼藤はわざと体重をかけて上津を押さえつける。
そもそも、抱かれる事をOKしてしまったのだ。
逃れられる筈がなく、鬼藤は体を下へズラして上津のナニを口に頬張った。
「あ”……うぅっ!」
竿が熱い粘膜に包まれ、上津はゾワッとくる快感に体を硬直させたが、ガチガチに起立した竿は、上津の意思を無視して先走りを垂らす。
鬼藤は本気を出してフェラし始めた。
感じるポイントに抜かりなく舌を這わせ、思いっきり咥え込んで竿を吸い上げる。
手慣れたやり方は、まだ経験の浅い上津なんかイチコロだった。
上津は辛そうに眉を歪めると、追い詰められて鬼藤の口内に体液をぶちまける。
「くっ……、っあ”! ハァハァ……」
押し寄せる快楽は止めようがなく、上津は歯を食いしばった。
鬼藤は上津が必死に堪える様子を見て満足し、脈打つ竿から体液を吸い上げる。
「なあ、いい加減意地を張るのはやめろ、お前だってもう俺との事を認めてるんだろ?」
体液を全て飲み終わると、鬼藤は息を乱す上津に向かって言った。
「組同士が和解したとしても、俺らの関係まで修復されて……それでお前とちちくりあえって言うのか? 俺とお前はライバルだ、そんなの無理に決まってる」
上津は鬼藤にイカされても、心から鬼藤を受け入れようとはしない。
「まったく……、俺はたった今お前のを飲んでやったんだぜ、ライバルなんか、そんなもんクソ喰らえだ、カシラ同士、たまにゃこうして楽しむのも有りだろ、時間が空いた時で構わねー、俺はお前を抱く、抱きてぇんだ」
鬼藤は上津のあまりの頑固さにため息をついたが、諦めるつもりはなかった。
「いいや、ライバルはライバルだ、けど……ヤリてぇならそれには応じてやってもいい、つまり……体の関係のみって事だ」
上津は八代に言ったのと同じように、あくまでも体の関係だけにとどめると断言する。
「そうか……わかったよ、ふっ……」
鬼藤はニヤリと笑って体を起こした。
『セックスだけOKすると言ったが、そりゃ自分を受け入れたも同然じゃないか』
そんな風に解釈していきり立つ竿を握り、先端を上津の中にツプッと入れた。
「ん”っ! んんっ!」
忘れたくても忘れられないあの感触。
上津は堪らず仰け反ったが、こんなに感じてしまうのは、この肉塊によって快楽を叩き込まれたからだ。
猛々しく勃ちあがる竿がズルズルと中に入り込んでくると、上津は嫌でも淫らな欲に毒されてしまう。
鬼藤は上津に被さり、緩やかに腰を動かしていった。
「どうだ、すげー感じるだろ?」
どんなに拒絶しようが、上津は自分が調教してこんなに感じるようになったのだ。
上津は快楽に堕ちる自分自身を戒めていたが、鬼藤は膨らんだ乳首を吸い、竿で体内を掻き混ぜる。
上津は顔を赤らめて喘ぐしかない。
「ハァハァ、くっ……っあ!」
鬼藤は体を密着させてトロマンを味わった。
「あ”ー、やっべぇ、お前ん中、やっぱ最高だぜ」
「あ”あ”っ! あ”っ! ハァハァ」
ナニがズボズボ往復すると、上津はメスイキして体を震わせ始めた。
それでも鬼藤の背中を抱こうとはせず、シーツを引きちぎる勢いで握り締めている。
鬼藤は優しくキスをして、昂る気持ちをぶつけるように、勢いよく竿を突き込んだ。
「っはあー、すげー気持ちいい、なあ上津……そうだろ?」
ドスの効いた低い声で上津の耳元で囁けば、メスイキした上津の理性が吹き飛んだ。
上津は鬼藤にガシッとしがみついた。
「く……そ……、あ”あ”っ、き、気持ちいい、ムカつく程気持ちいいんだよ!」
自ら腰を浮かせ、ナニを奥へ受け入れる。
上津はキリッとした男前だが、それを台無しにするような乱れっぷりだ。
その淫らな姿は、鬼藤を極みへと導いた。
鬼藤は上津をギュッと抱き締めると、力を込めて腰を打ちつける。
「ああ、それでいい、もっと感じろ、俺もイクからな、お前ん中に全部ぶちまけてやる」
鬼藤は喘ぐ上津の顔にキスをしながら、限界まで張り詰めた竿を思い切りズン!と奥に突き入れた。
息をとめてびゅーっと体液を吐き出せば、込み上げる快感に尻たぶがぶるっと震えた。
「あー、たまんねー、こいつが癖になるんだよ、おめぇに種付けすんの、身体中がしびれるぜ」
溜まった欲望を吐き出しながら口走り、上気した顔で上津の頭を抱き込んでキスをする。
「んあ”っ……、ふあ”……あ”」
ただでさえ息が乱れている状況で口を塞がれ、上津は息苦しくなって顔を逸らそうとしたが、鬼藤は頭をしっかりと押さえつけて舌を突っ込んだ。
鬼藤とて、興奮がピークに達して息苦しかったが、そんなのはどうでもよかった。
再び上津を自分のモノにできた。
その充実感は何物にも代えがたく、上津の肉体を貪り尽くしたかった。
好きなだけ口内を犯し、上津の体内に自らの体液を擦り込んでいく。
2人は息を詰まらせながら激しいキスを交わし、体を深く交えて湧き出す快楽を貪った。
「はあ、上津……、こんな気持ちいいのによ、まだ好きだと言わねーのか?」
鬼藤は今までの壁なんか全部取っ払って、いっそ自由に愛し合いたい気分になっていた。
「ハァハァ、い、言って……たまるか」
だが上津は、鬼藤とはライバル関係でいたかった。
それでこそ、互いを高め合う事ができると、自分なりのポリシーを持っていたからだ。
ただ、そうは言っても、体内にあたたかな体液を擦り込まれ、ビクビク震えながら鬼藤の背中に爪を立てている。
「へっ、馬鹿だな、バレバレじゃねーの、わかったよ、じゃ、ライバルでいいわ、その代わり……もう1発ヤルぜ」
鬼藤は意地を張る上津を丸ごと認め、たった今出したばかりだというのに、ゆっくりと腰を上下させる。
真庭を始末した事もあり、上津を長い事引き止めるわけにはいかないのだが、もう1回やらなきゃナニがおさまらない。
ゆさゆさと動き始めると、上津は背中を抱いて苦悶し、硬さを取り戻す竿を受け入れた。
鬼藤はもう……それだけで十分だった。
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