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自分好みのお客様
僕は、ある不動産屋で働いている。
今の時期は一番忙しい三月でもある。
そう、来月から新生活を始めるお客様がたくさんいるからだ。
来月から、新入社員になる者や、学生になって初めて親から離れて暮らす者が本当にたくさんいるからだ。
そして、僕が働いている不動産屋でも新入社員が入ってくる予定だ。
それも、楽しみなのだけど、とりあえず、僕は今、仕事を始めようかと考えていた。
本当に今月に入ってからは、次から次へとお客様がこの不動産屋にやってくる。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と本当に常に言ってしまっているほどに忙しい。
僕はこの不動産屋に働いて、もう五年目ほどで丁度仕事が楽しくなってきたところで、もう慣れてきた。 こう何年も色々な人々を見てきているのだから、何となくだが、その人がどんな人かも分かってきているのかもしれない。
不動産屋として、人間観察もしてきているのだから。
そう、僕はハッキリ言って男性好きだ。 何となくだけど、同性好きという人たちもやっぱり同性好きなのだから分かってきているような気がする。 オーラではないのだけど、こう何となく雰囲気でというのか、何となくではあるのだけど、同性好きが分かってきたようにも思える。
とりあえず僕の方は、イケメンで眼鏡を掛けていて、爽やか系の顔だと自分では思っている。 女性のお客様に、こっそりと電話番号とか聞かれるのだが、僕からしてみれば、本当にそういうお客様にはスーパースマイルでやんわりとお断りしている。 こういう仕事をしているのだから、話上手でもある方だと自分的には自負しているところだ。 そんなこんなでお客様にはこう楽しく部屋選びをしてもらいたいのだから、こう人によって色々とキャラみたいなのを変えることができるようになっていた。
だから、僕は成績の方はいい方と言ってもいいだろう。
今日は予約が入っていて、その予約して来た男性が僕の好みな声だったのだが、実際どうなんだろうか。
その男性が、間も無くここを訪れる。
そして不動産屋のドアが開く音と共にチャイムが鳴った。
それと、同時に僕はドアの方に視線を向けて、ここに来たお客様へと挨拶をする。
「いらっしゃいませ」
そう僕以外のスタッフもそのお客様へと挨拶をするのだ。
そして、僕はそのお客様の近くに行って、
「北山様でよろしいでしょうか？」
「あ、あぁ！ はい！」
と元気良く可愛く返事する、そのお客様。
もう、僕はその瞬間から本当にヤバかった。 先に言ったように予約の時に聞いた声と僕の頭の中でイメージしていた感じがほぼ一緒だったからだ。
北山というお客様は、本当に俺からしてみたら可愛くて、見た目的には来月からは大学生という感じなのかもしれない。 いや、身長や童顔さから見ると、高校生ほどだ。
その瞬間に僕の心臓が高鳴ったのが分かった。
そうだ、僕からしてみたら完全なドストライクなお客様だったからだ。
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