ドキドキしてる

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ドキドキしてる

 変に僕の鼓動が早くなり始めたようにも思える。  確かに、こういう行為をしているのだから、興奮状態っていうのがあるのかもしれないのだけど、自分がネコの立場になって初めての行為の方に今は胸が高鳴っているのであろう。  っていうことは、北山に期待しているということなのか。  まさか自分がネコ側で興奮するとは思ってなかったことなのかもしれない。  もう何分とこの体勢で舌を絡めて来たのであろうか。 既に俺の方は飲みきれなかった唾液が体を伝って、胸の辺りから脇腹へと辿っていく。  水音で聴覚も犯され、体は徐々に興奮度が増していく。 胸の鼓動もだが、勿論人間なのだから、これからそういう行為をするってなると準備を始める。  自分のモノが段々と勃ってきているのが分かるのだから。  タチ側じゃなくても俺の場合には勃つということなのであろうか。 いやそこは普通に人間なのだから勃ってきているということなのであろう。  北山は唇を未だに重ねながらも、俺のモノをギュッと握って来るのだ。  その行為に、俺は、 「……っ!!」  言葉を詰まらせてしまっていた。  声にもならない声。  当然いきなりの行為だったのだから、誰しもそうなるに決まっているというところであろう。  そんな俺に北山が一瞬にやりとしたような気がしたのは気のせいであろうか。  そして一瞬北山が俺の唇から離れ、 「フフ……そんなに最初っからいい反応を見せてくれるなんて、本当、これから楽しみで仕方ありませんよ……」  と言って来るのだ。  見た目は可愛いフリして、中身の方はSなんだろう。  そんな北山にドキドキとしてしまっているのは本当に俺の方だ。  怖いとかではない。 やはり期待してしまっているということなのであろう。  確かに今までネコに俺のモノを握ってもらって舐めてもらったり扱いてもらったりとしたことはあったのだけど、タチの人間にはシてもらったということは当然無い。 そしてこうも強くは握られたことさえもない俺。  流石にネコ側の人間っていうのはSっ気というのはあまりあるもんではないのだから、こう強くは握っては来ないということでもある。  気持ち的に俺のモノを北山に強く握られて、上へ下へと更に激しく扱かれる。  強くなのだから、痛いという気持ちはあるものの、今の俺というのは期待の方が上なのだから、それくらいは平気ということなのであろう。  ということは、自分の場合、案外、SではなくMだったのかもしれないと思うところだ。 それなのに今までタチだったのだから。 「ねぇ、御手洗さん……凄く、ココ、期待してるみたいですけど……? 本当に御手洗さんって、今までタチだったんですよね?」
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