条件はどんなのがいいですか?

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条件はどんなのがいいですか?

 とりあえず、いつもの営業スマイルというのか、どうにか自然な笑顔で北山の方を見つめると、再度確認のために条件を聞いてみることにした。 「条件の方はどういたしましょうか?」  すると、北山はまたその極上な笑顔で言った。 「だから、御手洗さんが決めた所でいいですよ」  その言葉に俺は本当に天国へと来てしまったかのように感じたが、高鳴ってしまっている鼓動までも抑えつつ、今は仕事をしているのだから、その天国へ行ってしまいそうになっていた魂を自分のところへと戻し、もう一度小さく深呼吸をするのだ。  しかし、本当に今日の僕の鼓動は全く落ち着かない。 今にも過呼吸で死んでしまいそうなのだが、それを何度でも抑える僕。  よくよく考えてみると、本当に北山は僕が決めた物件でいいのだろうか。 そうなると、僕の家の近くでもいいということだろう。  まさか北山も僕のことを意識している。 ということなのであろうか。 だから俺の家の近くにしたいと思っているのであろうか。  とりあえず、勘違いしているかもしれない僕を落ち着かせてから、冷静を装い、いつものように接客を始める。 「じゃあ、駅近とか、コンビニが近いとか? あ! 学生さんでしたら、学校に近い方がいいと思うので、駅近の方がいいですかね? それと、家賃が安くて見た目もいい所がいいと思うのですが……?」  そう言いながら、僕はパソコンの方に視線を向けて、検索を始める。 「とりあえず、出ましたけど……どうですか?」  と言って、僕はその検索したパソコン画面を北山の方へと向けるのだ。  一瞬、北山はその画面を見たのだけど、すぐに険しい表情になって、 「違うかな?」  と漏らす。  とりあえず、僕の方は心の中で、『僕が選んだ場所でいいって言ったじゃないですか?』と突っ込みながらも、とりあえずそこは仕方がない。 北山がそう言っているのだから。 と自分にそう言い聞かせるのだった。  だけど、次の北山の言葉に動揺してしまった自分がいた。  しかし、本当にそれってどういう意味なんだろうか。 と、本当に疑問に思うような言葉だったのだから。
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