密会

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密会

 しかしマジで、その見上げ方は僕からしてみたら反則だ。  本当に今直ぐにでも、この場で直ぐに北山の事、抱き締めたいくらいになってくる。 だけど、今はまだ、ここはマンションの中にあるゴミ捨て場であって、いつ誰が来るか分からない場所なのだから、流石の僕にはそこではそんな事は出来ない。  一応、世間の目というのは気にしてる方だからだ。  未だに世間では同性同士のカップルというのは、認めてくれている人もいるのだけど、認めてくれない人の方が大半なのだから、まだまだ正々堂々というわけには行かないからだ。  だが次の瞬間、僕の考え方とはよそに北山は僕に抱き付いて来る。 そう僕と北山では若干身長差もあるからなのか、どうやら北山からしてみたら丁度僕の腰のあたりが抱き付くにはいい高さだったらしい。 「本当に僕は御手洗さんの事が好きなんです!  御手洗さんも僕の事、好きでしたら、付き合って下さい!」  そう急に告白を受けた僕。  一瞬、どうしたらいいのか分からなかったのだけど、僕の方も一方通行の恋ではなかったという事に気付く。  そこには、ホッとした僕がいた。  そう今北山は『お付き合いして下さい』と言ったのだから、ライクではなくラブの方だというのが分かったからだ。  そこに安心したのは良かったのだけど、ここはゴミ捨て場で、しかも僕に関しては仕事前なのだから、 「あ、まぁ、うん……分かった。 とりあえず、分かったからさ。 その……あの……ココ、まだゴミ捨て場だし、僕にはまだ仕事があるんだけどなぁ。 ごめん遅刻しちゃうし……」  本当に申し訳ない感じで僕は北山に言うのだ。 しかし本当に今は仕事行くのも勿体なく感じて来るくらいに今は北山といたい気分なのだけど、そこは社会人としてプライベートと仕事とで切り離し、北山には断りを入れるのだ。 「では、分かりました! 御手洗さんが帰って来るまで僕待ってますね……」 「そうしてくれると助かるかな?」  とりあえず朝はそこで会話を終了させると北山さんは素直に僕から離れて行ってくれた。  また、そこにホッとしてしまっている僕。  それから、とりあえず、気持ちを切り替えて僕はいつものように出勤するのだった。  だが今日の僕は仕事場に来てもこう何か気合いが入らないというのか、僕の頭の中ではずっと北山の事が回ってしまっていたのだから。  確かに僕は男なのだ。 だから告白の場所とかっていうのは気にしないのだけど、あまりにも告白の場所が悪かったというのか、せめて、もうちょっと普通な所でとは思ったのだけど、まぁ、北山と会えるのはそこしか無いのだから今日は仕方がない。 今一度告白する場所とかを考えた方がいいのであろうか。 いや別に男同士なのだから、案外場所とか雰囲気とかっていうのはそんなに深く考えなくてもいいのかもしれない。 実際、北山だって何も考えずに僕に告白してきたのだから。
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