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お宅訪問
とりあえず、今日の朝はあまりにも衝撃的な告白があり過ぎて、今日の僕は仕事に集中できなかった。
しかも、こういう時に限って予約が少ない状況でもある。 もし予約があったなら、仕事に集中できていたのかもしれない。
よく分からないため息を吐きながらパソコン画面を眺める。
ふと、北山の書類というのか契約書というのか、北山のことが書いてある書類をパソコン画面上で見てしまっていた。 契約している時はこうまじまじとは見られなかったけど、こういう時にじっくりと見られてしまうということだ。
僕の中では北山はずっとお客様として見て来ていたのだから、北山様だったのだけど、これからは、恋人同士になるのだから、名前の方もと思い、その北山のことが掲載されている画面を見ながら、名前や年を見てしまっていた。
名前は「:惺(せい)」というらしい。 生年月日の方へと視線を向けると、確かに二十歳を越えていた。 そういや物件探しにおいて、未成年の場合は親の承諾も必要だし、親も付き添って来るものだろう。
そうだ。 北山のことに夢中になり過ぎて、基本的なことを忘れていたのかもしれない。
とりあえず後のことは帰宅してから北山に直接聞いた方がいいと思い、パソコン画面から視線を外し他の仕事を始めるのだ。
それから帰宅時間になると、僕は自宅があるマンションへと向かう。
よく考えてみれば、まだ連絡先を交換していない。 そうだ、とりあえず朝は簡単に約束しただけだった。 僕は夕飯を食べてから北山さんの家に行くことにした。
後は家に帰ってきてスーツを脱いで、夕飯を食べたら、どうやって北山さんの所に訪ねるかだ。 私服で行ったらいいのであろうか。 それとも、家着で行ったらいいのか。 そこも迷うところなのかもしれない。 いや確かに隣の家ではあるんだけど、流石に家着での訪問は、まだ違うのかもしれない。 基本、僕の家では短パンにTシャツなのだから、これではまだ知り合ったばかりの人物と会うようなスタイルではないだろう。 そうせめて僕はGパンにTシャツ程度にしておこうと思い着替える。
そう考えて、ご飯を食べ終えると、北山の家へと向かうことにした。
ピンポーンというチャイム音の後に北山が出てきてくれる。 こう何かドアフォンに出て来てくれるのかと思ったのだけど、普通に玄関へと出てきてくれた北山。
しかも、北山の方は家着なのか、短パンに何故かダボダボのTシャツで出てきて、なんというかこっちの方が目のやり場に困ってしまうほどの姿だ。
本当に男性の僕からしてみたら告白された彼女の家に遊びに行く感じなのだから、例え相手が男性だとしても本当に目のやり場に困るということなのだ。
「御手洗さんの方が来てくれたのですか？」
そう嬉しそうに下からの目線で言って来てくれる北山。
「え？ だって、朝約束したでしょう？ それに、連絡先聞いてなかったしね」
「あ！ そうでしたねぇ！」
そこで思い出したかのように手をパンと叩くと、
「まぁ、ここで立ち話もなんですから、僕の家に入って下さいよ」
と促してくれて、俺の方は、とりあえず、
「あ、うん……お邪魔しまーす」
そう言い、僕の方は北山の家の中へと入って行くのだ。
物件紹介をした時には何も無い部屋だったけど、今は北山の家になったのだから、色々と物が置いてある。 間取りは僕の部屋と同じなのだから、奥に部屋があるといった感じだ。
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